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寝子島高校
多分、何気ない一日
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気が付けばずいぶんな距離を歩いていたらしい。憂鬱の反動めいた衝動に突き動かされ、星ヶ丘からシーサイドタウン、旧市街へと突き進んだ。目的なく、とりとめもなく。茫漠たる未来へ立ち向かう
朝永 真深
にとって、一つの方策であった。中学生から高校生へ変わるこの過渡期にあって、確かなものなど何もない気がした。揺らぎ、ともすれば弾かれ、逸脱してゆく予感が拭い去れない。しかしそもそもレールの上を無心に走り続けていいものか、それは果たして自分の人生を歩んでいると言えるだろうか。いやことさらに不良ぶるつもりもないのだが、それでも湧き上がる問いから目をそむけ続けることも難しく、真深は意識せぬまま歩きつつ己の在り様を深く考察せずにいられない。
そんな中で、出会ったのだった。
「な……何、この可愛い生き物は?」
笑っていた。いや笑っているように見えるだけかもしれないが、ともかく満足で幸福そうな顔をしていた。短い毛の小さな動物が真深の視線の先にはおり、こちらをじっと見つめていた。かと思うとぴょこぴょこと跳ね飛びながらにやってきて、真深のズボンの裾へ前足でしがみつく。
「猫、じゃないよね。犬でもないし……コアラ? ちっちゃいカンガルー? ちょっと違う気もする」
小動物はやけに人懐っこく、抱いてほしいのかしきりに前足を伸ばしてアピールする。愛らしさに絆され思わず抱き上げ、ふわふわの毛並みが頬をくすぐる感触を楽しんだところで、思い出した。
「そうだ。確か……クオッカワラビー。だっけ?」
カンガルー科に分類される有袋類で、オーストラリアに生息している。人呼んで世界一幸福な動物。口元の造形が笑っているように見えるから……なのだが実のところ複数の機関や国に指定される絶滅危惧種であったりもする。環境破壊、人間の活動によって増えた天敵による捕食、動物実験など多々脅威にさらされ、かつて広く分布していたのが今ではごくわずかな地域を残すのみとなってしまった。と、真深はスマホで調べて知った。
必ずしも幸福でない道を歩んできたクオッカだが、少なくとも真深の腕の中で気持ち良さそうにくあっとあくびを漏らした個体は何とも隙だらけ、幸せそうな顔をしている。
「どこから来たの? 寝子島にはいないはずだよね。今は唯一、埼玉の動物園で飼われてるらしいけど……」
そんなところからとことこと歩いてきたとは考えにくい。
首を傾げていると、何やら泡を食った様子で駆けてくる男女がいた。
「ああ! 良かった、ここにいたんですね……!」
「逃げ出した時はどうしようかと。保護のご協力、感謝します!」
「保護……? あ、この子ですか?」
感じのよい中年の男性と若い女性は、またたび市動物園の職員らしい。のんきに散歩へ出かけてしまったクオッカワラビーを捜索中であったとのことだ。真深はやはり首を傾ける。
「でもクオッカって、埼玉の動物園にしかいないんじゃ」
「良くご存じですね。実は、まだ発表前なんですが……」
「私共の園でもこの度、クオッカをお迎えすることができたんです!」
聞けば、もうしばらく後に公開される予定の新しい動物たちの一匹であり、現在はその準備が進められているところだという。
「公開になったら、ぜひこの子に会いに来てくださいね」
「はい、ぜひ」
一足早く出会えた幸運に感謝しつつ、またねと言いながら職員の女性にクオッカを渡すと、名残惜しそうに袖をつかまれ、真深の胸はきゅんと熱くなった。
クオッカにはあらためて会いにゆくとして、なるほど動物園。この空虚な日を埋めるにはちょうど良いかもしれない。興味を惹かれ、少し立ち寄ってゆくことにした。朝からいまひとつ無為な道行きであったが、目的が定まった途端に目の前が明るく開けてゆくような気がした。
「へえ、いろいろいるんだなぁ」
サル山と水辺のエリアで猿たちののんびり毛づくろいや、象の水浴び姿を堪能する。猛獣エリアで肉食動物たちの迫力に圧倒され、山猫の凛々しくも愛らしい姿に頬をほころばせる。
真深が殊に気に入ったのは草食動物エリアを闊歩するアルパカたちだった。
「相変わらずもこもこしてるね」
この場所では何だか時の流れが緩やかに思える。今朝方から感じた焦燥が動物たちの愛嬌溢れる仕草によって洗われてゆくかのようだ。
真深はあたりを見回す。もちろんあのクオッカワラビーはまだ目に見えるところにはいない。しかしクオッカも草食動物だから、いつかこの一画へ専用の住みやすいスペースを用意され、あの穏やかで幸せに満ちた笑顔を振りまくのだろう。
「楽しみだな……」
一通り堪能して、真深は気も済んで自宅へと戻るのかと思いきや、今度はこの健やかな陽気の下をもっと歩きたいという欲求がむくむくと頭をもたげてきた。
「さて。次はどこに行こうかな」
丹田から渦を巻いて湧き出るような活力を感じながら、真深は力強く歩く。このまま九夜山を登ってしまおうか。それとも島を一周してしまおうか。いずれにしてもまだまだ、この回転する足は止まりそうにない。
歩く。前へ前へと。
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あとがき
担当マスター:
網 透介
ファンレターはマスターページから!
網です。
なにげない(なにげなくない)お話でした。
クオッカワラビーについてあらためて調べたら、むしろ幸福でないエピソードがいくつも出てきて驚きました。守りたいこの笑顔。
ちょっとした日々の中にこそ幸せはあるのだと実感します。波乱万丈もいいけど、平坦な人生もいいもんです。
それでは、また次回に。
網でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
NPC交流
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年01月27日
参加申し込みの期限
2025年02月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年02月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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