- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
多分、何気ない一日
[おはよう、あおい]
[おはよー修くん！]
今朝のニャインでのやりとりには、何とかいうゆるキャラのスタンプが添えられていた。くすりと笑み、八神 修は湯気の立つコーヒーをすする。朝六時。毎日のルーティーンとなっていた。
七夜 あおいへ想いを告げてからどれだけの時が経っただろう。それが実り、恋人同士となったのはつい先日のことだ。今は間もなく始まった遠距離恋愛の新鮮に浸りながらにこの春からの新生活に備え準備を進めているところである。
[今日は妙な夢を見たよ。楽しい夢だったけどね]
[どんな夢？]
[タップダンスを踊る猫たちを、あおいと一緒に観劇していたんだ。そうしたら飛び入りの参加者が現れて、それが猫の扮装をしたフジコ先生で]
コミカルな猫のイラストが踊る「おかし～」のスタンプがぺたんと張りつけられた。
そんなやりとりをここ数日、毎朝続けている。楽しくて止め時が分からず、ついつい三十分一時間と続けてしまうこともあった。今はまだ大学も始まっていないから少しばかりだらけても問題はないのだが、生真面目な修は後から己を戒める決意をするも、顕著な成果は出ていなかった。
まあ、今くらいはいいだろう。
[今日は天気がいいみたいだ。そっちはどう？]
「さいあく～」のスタンプ。
[朝からぽつぽつ来てる。午後からはどしゃぶりになるって]
[洗濯ものが乾かないな]
[そうそう！ 困っちゃうよね～]
修も「わかる～」のスタンプを張りつけた。
天気の話や他愛のない夢の話。話題は何でも良かった。繋がっていられるならそれでいい。
修は東京で医師を目指す。あおいは九州、福岡で福祉職を。離れてみてあらためて思うが、距離がさほどの障害とはならないことを実感している。それぞれ目指すものがあり夢や思いがあり、その上で互いが互いを尊重しているし、叶えば良いと心から思う。心、それこそが肝要なのだと言葉一つ一つに気づかされるのだ。そう、スタンプの一つからでも伝わる思いがある。
[修くんの今日の予定は？]
[大学生活の準備。教科書やノートを買いに行くつもりだよ]
[思ったよりいろいろ必要だよね～]
あおいも苦労しているだろう点を共有できるし、時に助言を送り合うこともある。その過程でより深く、しなやかに滑らかに繋がっている気がする。
[あ、そうだ。ちょっと通話してもいい？]
[もちろん]
「サンキュ～」のスタンプ。願ってもないことだ。程なくして通話が繋がると、既に懐かしく思える彼女の元気な声が耳を震わせた。
『おはよー修くん。元気してた？』
「ああ、おはよう。俺は元気さ。そっちはどうだ？」
『私？ うーん。少し緊張してる』
「はは、もう少しで入学式だものな」
『う～っ、友だちできなかったらどうしよう！？』
「大丈夫だよ、あおいなら。俺が保証する」
彼女が深く息をつくのが伝わった。
『そっかな。うん、そうだよね。ありがと、修くん』
「いいんだ。なんだ、そんなことが不安だったのか？ あおいの周りにはいつもたくさん友達がいたじゃないか」
『あっ、違うの！ それも確かに不安だけど、不安だったけど、それはもう大丈夫。うん。そうじゃなくて、一人暮らしって思ったより色んな物が必要じゃない？ 修くんに色々聞きたいなって思って』
「なるほど、俺に分かることなら何でも教えるよ」
『ありがと、助かる～！』
修自身も必要な準備を上げれば枚挙にいとまがない。教科書を揃えるのもそうだし、各種生活雑貨も足りていない。時間を見つけてサークルの見学などにも行きたいし、授業がまだ始まらないといってもこれで案外忙しいのだ。
だからこそ、ニャインでも通話でもいい、こうして繋がっていたい。喜びも苦難も、慌ただしさも緊張感も、そんな中で感じた毎日の機微も全て、分かち合いたい。そうすることで前に進んでいける気がする。
『はー、なるほどね。ありがとう、何とかなる気がしてきた！』
「ああ、その意気だ」
相互作用だ。与えて、与えられる。修があおいから受け取るもののいかに大きいことか。
その後も多様な話題で一通り盛り上がったが、最後に修は何げなく尋ねた。
「そうそう、そういえば、週末にでも会わないか？ そっちに行ってもいいかな」
『会うって……こっちにって、ええ？ 来れるの？ そんな簡単に？』
「俺たちにとって、お互いの距離が障害とはならないことを証明したくてね」
などと冗談めかして言うと、あおいは噴き出した。
「何でもいい。話して、買い食いでもして……買い出しにだって付き合うよ。荷物持ちだっていい」
『うん。そうだね。それもいいね』
そうやって、繋がってゆく。そうだ、距離などさしたる問題ではないのだ。願えば繋がることができる。
希望を胸に二人、春を迎える。新生活は目の前だ。
[おはよー修くん！]
今朝のニャインでのやりとりには、何とかいうゆるキャラのスタンプが添えられていた。くすりと笑み、八神 修は湯気の立つコーヒーをすする。朝六時。毎日のルーティーンとなっていた。
七夜 あおいへ想いを告げてからどれだけの時が経っただろう。それが実り、恋人同士となったのはつい先日のことだ。今は間もなく始まった遠距離恋愛の新鮮に浸りながらにこの春からの新生活に備え準備を進めているところである。
[今日は妙な夢を見たよ。楽しい夢だったけどね]
[どんな夢？]
[タップダンスを踊る猫たちを、あおいと一緒に観劇していたんだ。そうしたら飛び入りの参加者が現れて、それが猫の扮装をしたフジコ先生で]
コミカルな猫のイラストが踊る「おかし～」のスタンプがぺたんと張りつけられた。
そんなやりとりをここ数日、毎朝続けている。楽しくて止め時が分からず、ついつい三十分一時間と続けてしまうこともあった。今はまだ大学も始まっていないから少しばかりだらけても問題はないのだが、生真面目な修は後から己を戒める決意をするも、顕著な成果は出ていなかった。
まあ、今くらいはいいだろう。
[今日は天気がいいみたいだ。そっちはどう？]
「さいあく～」のスタンプ。
[朝からぽつぽつ来てる。午後からはどしゃぶりになるって]
[洗濯ものが乾かないな]
[そうそう！ 困っちゃうよね～]
修も「わかる～」のスタンプを張りつけた。
天気の話や他愛のない夢の話。話題は何でも良かった。繋がっていられるならそれでいい。
修は東京で医師を目指す。あおいは九州、福岡で福祉職を。離れてみてあらためて思うが、距離がさほどの障害とはならないことを実感している。それぞれ目指すものがあり夢や思いがあり、その上で互いが互いを尊重しているし、叶えば良いと心から思う。心、それこそが肝要なのだと言葉一つ一つに気づかされるのだ。そう、スタンプの一つからでも伝わる思いがある。
[修くんの今日の予定は？]
[大学生活の準備。教科書やノートを買いに行くつもりだよ]
[思ったよりいろいろ必要だよね～]
あおいも苦労しているだろう点を共有できるし、時に助言を送り合うこともある。その過程でより深く、しなやかに滑らかに繋がっている気がする。
[あ、そうだ。ちょっと通話してもいい？]
[もちろん]
「サンキュ～」のスタンプ。願ってもないことだ。程なくして通話が繋がると、既に懐かしく思える彼女の元気な声が耳を震わせた。
『おはよー修くん。元気してた？』
「ああ、おはよう。俺は元気さ。そっちはどうだ？」
『私？ うーん。少し緊張してる』
「はは、もう少しで入学式だものな」
『う～っ、友だちできなかったらどうしよう！？』
「大丈夫だよ、あおいなら。俺が保証する」
彼女が深く息をつくのが伝わった。
『そっかな。うん、そうだよね。ありがと、修くん』
「いいんだ。なんだ、そんなことが不安だったのか？ あおいの周りにはいつもたくさん友達がいたじゃないか」
『あっ、違うの！ それも確かに不安だけど、不安だったけど、それはもう大丈夫。うん。そうじゃなくて、一人暮らしって思ったより色んな物が必要じゃない？ 修くんに色々聞きたいなって思って』
「なるほど、俺に分かることなら何でも教えるよ」
『ありがと、助かる～！』
修自身も必要な準備を上げれば枚挙にいとまがない。教科書を揃えるのもそうだし、各種生活雑貨も足りていない。時間を見つけてサークルの見学などにも行きたいし、授業がまだ始まらないといってもこれで案外忙しいのだ。
だからこそ、ニャインでも通話でもいい、こうして繋がっていたい。喜びも苦難も、慌ただしさも緊張感も、そんな中で感じた毎日の機微も全て、分かち合いたい。そうすることで前に進んでいける気がする。
『はー、なるほどね。ありがとう、何とかなる気がしてきた！』
「ああ、その意気だ」
相互作用だ。与えて、与えられる。修があおいから受け取るもののいかに大きいことか。
その後も多様な話題で一通り盛り上がったが、最後に修は何げなく尋ねた。
「そうそう、そういえば、週末にでも会わないか？ そっちに行ってもいいかな」
『会うって……こっちにって、ええ？ 来れるの？ そんな簡単に？』
「俺たちにとって、お互いの距離が障害とはならないことを証明したくてね」
などと冗談めかして言うと、あおいは噴き出した。
「何でもいい。話して、買い食いでもして……買い出しにだって付き合うよ。荷物持ちだっていい」
『うん。そうだね。それもいいね』
そうやって、繋がってゆく。そうだ、距離などさしたる問題ではないのだ。願えば繋がることができる。
希望を胸に二人、春を迎える。新生活は目の前だ。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2025年01月27日
- 参加申し込みの期限
-
- 2025年02月03日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2025年02月03日 11時00分
