いざっ勝負！！！！！！｜リアクション

いざっ勝負！！！！！！

　綾辻綾花は早川珪と共に目を開けた。
「えっ」
　完全に体が密着していた。腕が痺れたので、
「あの、珪さん、背中に……ぎゅっとして良いですか？　体勢が辛くて」
「ああ。でもここは」
　どうやら正方形の狭い箱の中に閉じ込められているようだ。
「また、箱に詰められてるんですかね」
「そうっぽいな」
　ぼんやりと薄暗い視界に移る珪はほんの少し顔を赤らめているように見えた。
「珪さん、大丈夫ですか？　ちょっと動きますか？」
「ああ、少し足をずらすからな」
　と、絡まった足を動かした瞬間、
（あ、これって）
　彼の動きに合わせてスカートが太ももから上へめくれ上がって行く。
「け、珪さん、ちょっとその辺で、あの、さすがに丸見えは恥ずかしいです」
「あ……」
　スカートが太ももギリギリでどうにか止まった。
「悪かったな」
「大丈夫です。どうですか、体勢」
「ああ、少し楽になった。それにしても、どうやったら」
　箱の壁に文字がかかれていた。
『じゃんけんで勝ったほうからキスをする』
　思わず顔を見合わせた。それから赤面してお互い視線を逸らす。
「あー、まあ、付き合ってるし、な」
「は、はい」
　絡まった足が目に入ってしまい、どきりとする。
　綾花はそっと珪の胸元に手を添えた。
「できれば、珪さんに勝ってほしいです」
「綾辻さんが勝っても、ドキドキするからそれも良いかな？　勝負、しようか」
　綾花は自分から珪に顔を寄せるところを想像してしまい、心臓の音が早くなったような気がする。
「じゃあ、じゃんけん、ポンッ」
なぜがこういう時に限ってあいこが続く。　
「あいこでしょ」
「あいこでしょ」
　そしてなんと十回目。
「ポンッ」
　珪の勝ちだった。
　さすがにほっとする。
「ちょっと残念だな？」
　からかうように言われ、照れる。
　自分がリードするキスだなんてハードルが高い。
「もう、からかわないでくださ、ん」
　唇を重ねられた。優しく抱きしめられ、きゅんとする。
（なんか、幸せです）
　そして気づけば、そこは寝子島だった。
　なぜか手を繋いで立っていた。
「恋人として、初めてのキスですね」
　ドキドキ。珪も優しく微笑んだ。

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