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寝子島高校
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傘は手から離れて、降りはじめた小雨が二人の髪を肩をと濡らした。
「あと……27分?」
呆として固まった。残り時間を告げられたにも関わらず、時が止まったかのようだった。
あれほど陽気な模様だった空が今や暗くわだかまり、まるでこの世の終わりのような様相で、いや。旅人たちの言うことには実際にこの世が終わるのだそうだ。なるほど、天上にて展開する光景は美しくも爆裂してゆく星達の尽きゆく命の最期の輝きなのだろう。響く震動はその断末魔なのだろう。
佐和崎 紗月
は
初瀬川 理緒
を見つめ、理緒も紗月を見返した。戸惑いがもたらす感情こもらぬ瞳だったが、それも一瞬だった。
「理緒ちゃん」
「紗月……」
ふたりに共通して想起される思いがあった。数日前の夜だった。
降りしきる雨のように泣き出した紗月の肩を、理緒は惑いがちに抱いた。シーツにくるまれた素肌はまだ汗濡れて熱く、互いの温もりが循環しあっていたがしかし、紗月は肩を震わせしばし泣き止まなかった。
「紗月?」
「怖いの……」
子猫のように弱々しく、紗月は吐露した。
「怖いの、だってそうでしょ? 理緒ちゃん。私か理緒ちゃん、どっちかがもし……もし、死んじゃったら。取り残されちゃったら。どうなるの? 私、いやだよ。想像できない、想像したくない。どっちかがいなくなるだなんて。二人が一緒にいないなんて、私、耐えられないよ……」
そうしていつまでも彼女は揺れていた。理緒は言葉もなく紗月を抱きしめるばかりだった。
どうなるのだろう。どちらかが……例えば明日交通事故に遭い帰らぬ人となる可能性も無きにしも非ずだし、重い病気に罹り緩やかな死に向かってゆく日々が始まるのかもしれない。そうならないとは誰にも言い切れないではないか。死別ではないとしても、何らかの理由で離れ離れとなってしまうかもしれないではないか。
暗い可能性は常に付き纏う。普通なら振り払ってしまえるようなその当たり前の疑念から、繊細な紗月は容易に抜け出せない。それは紗月の弱みであり美しさでもあると理緒は知っていた。浮世に染まらずいつまでも無垢な紗月のそんなところも理緒にとって愛すべき美徳だった。
「大丈夫。大丈夫だよ、紗月。そんなことにはならないから」
「でも……」
「ずっとそばにいるから。紗月がもうイヤだーって言ってもずっと、ずっとね」
「……私、そんなこと言わないもん」
「ふふ、そうかな? うん、そうだね。最後まで一緒よ、紗月」
「理緒ちゃん……」
朝まで彼女を宥め続けた。そうして理緒は、己もまた紗月に等しい不安を胸の奥底に抱くことを知った。
だからだろう。旅人たちの告げた言葉に紗月の零す涙はあの夜と、大きく意味を違えた。
「嬉しいな」
旅人たちには悪いが、彼らの怪訝そうな顔ももはや目に入らない。紗月の滲む視界は傍らの理緒でいっぱいとなったので。
「もう、死が二人を分かつ……なんてことも無くなったね」
「喜んでいいものか、ちょっと迷っちゃうけどね。地球が終わるって言うんだもん」
「嬉しいよ、私は」
柔らかな胸へ飛びこむ。もう何者もそれを阻むことはない。旅人たちも微笑ましい目を向けた後どこかへ行ってしまった。
「そっか。じゃ、まぁいっか?」
「うん」
歩き出す。空は暗いが明滅する。星たちの叫びは花火となって二人のゆく道を明るく祝福した。
死してなお二人を分かつ者はないのだ。二人は本当の意味で結ばれるのだ。そんな思いが紗月を昂揚させ、足取り軽く弾ませた。
寝子ヶ浜海岸にはぽつりぽつりと人影があった。友人や家族、あるいは恋人たち。まばらに集まり砂の上へ腰を落としている。理緒や紗月と同様の思いを抱いたのだろう。あの塊の一つ一つに温もりが満ちている。そう考えると二人の胸も暖かく灯った。
固く手を繋いだままゆっくりと砂を踏みしめ歩む。いいところを見つけて二人もまた白浜へ腰を落ちつけた。満たされていた。何ものにも代えがたい唯一無二が、互いの中に在る。それだけが全て。それこそが幸福だ。もはや言葉さえ必要ない。想いは十分に伝えたし伝わった。染み入った。後はこれをできる限り長く享受する時の猶予があればと思うが、理緒は鼻で笑い紗月も苦笑いした。それは贅沢というものだろう。
数分の間そうして寄り添い、ネオンのように瞬く星たちの最期を見守りながら時を待った。
やがて終焉は訪れた。星々の炸裂が闇に覆い隠されていく。いや、あれは無だ。何も無い。無のカーテンが宇宙を覆い尽くし、星を飲み込んでゆく。徐々に大きくなり始めた震動が次第に極大となり二人を、寝子島を、地球を震わせる。地の底から揺さぶり始める。
恐怖はなかった。二人はそっと唇を重ね、幸福の絶頂と共に終わりを迎えた。宇宙の収縮は完遂されたのだ。
ビッグクランチを経て宇宙はビッグバンへと転ずる。永劫に続く震動の、ほんの一端だ。幾度となくそれが繰り返されてきた。ちっぽけな時の一端に生命はしがみつき生きているのだ。
宇宙は膨張し、散りばめられたガスや塵が引力を帯び回転を始め、やがて惑星を成し、ぶつかり合い化学反応により多様な物質が生成されてゆく。炭素が宇宙へ行き渡ると他元素と結合し、我らが宇宙と呼ぶ概念が形作られてゆく。宇宙が満たされてゆく。
熱した惑星が冷え固まると、原初の生命が海中に生まれ進化の旅を始めた。単細胞生物は真核生物となり、魚類の祖先が生まれ、爆発的進化を経て陸上へと上がる。途方もない時間をかけ、宇宙の営みから見ればほんの一瞬ではあるが、やがて二本の腕、二本の足、巨大な脳を備えたヒトの祖先が誕生すると、その知能と汎用性に恵まれた身体的特徴を持って地上を席巻し始める。道具を扱い、絵画や文字を扱い、文化を得て文明に目覚める。争い、奪い合い、安定を経て再び奪い合い、秩序や愛を得た。
文明が円熟を迎え一つのボトルネックへ達した頃。アスファルトとコンクリートで人類の構築した街の真ん中で、二人の少女が出会った。
「……私、さつき。あなたは……?」
「あたしはリオ。よろしくね、さつき! ……ねぇ、あたしたち、どこかで会ったことある?」
「ううん、初めて。でもなんだか……懐かしい? 胸があたたかくなるような……不思議な気持ち……」
宇宙は震動する。まるで寄せては返す波のよう。全てをさらう波が去った後、しかし遺伝子は残り続けるのかもしれない。いつまでもいつまでも残り、引き寄せ合うのかもしれない。
そう信じたい。
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あとがき
担当マスター:
網 透介
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網です。
地球が終わるお話でした。
これを書いている時に偶然知りましたが、2032年に1%以上の確率で地球に衝突する可能性のある小惑星があるそうですね。1%というのは当然ながら大きな数字です。
とはいえ実際は調査が進むと徐々にこの確率は低下し、0%に修正されるのが常なのだそうですが。それにこの惑星のサイズだと、地球が粉々に吹っ飛んだり人類が滅亡するような被害にはならないとのこと。
それでもまあ、恐ろしい話ですね。
それでは、また次回に。
網でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年01月19日
参加申し込みの期限
2025年01月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年01月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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