ケーキを食べよう！｜リアクション

ケーキを食べよう！

　今日はクリスマス。
　梓智依子は、去年と同様「おもちゃのハローニャック」でバイトをしていた。
「いらっしゃいませ。それでしたらこちらに……」
　クリスマスの店内は今年も賑わっていた。
　サンタさんからのプレゼントという手前、小さな子が少ないのがせめてもだろうか。
　とはいえ駆け込みでプレゼントを買う客は多く、アドバイスを求められて子供の年齢や好みを聞き頭をひねる羽目になる。

　そうしているうちに夕方となり、一緒にバイトをしている同級生たちはうきうきと早めに引き上げていった。
「お疲れさま」
　冬休みなので智依子は朝から晩まで働きづめだ。
　それも娘を見ていてくれる祖父母あってのことなのだが。

　ようやく帰宅できたのは午後8時過ぎだった。
「ママー！」
　玄関のドアを開けると、待ち構えていた6歳になる娘の楓が飛びついてきた。
「ただいま。遅くなってごめんなさい」
　祖父母（楓にとってはひいおじいちゃんとひいおばあちゃん）に謝ったが。
「いいんだよ。遅くまでおつかれさま」
　笑って許してくれた。
　祖父母がいなければ、きっと楓を失っていただろう。
　感謝してもしきれない。
「早くたべよう！　ケーキがあるよ！」
　楓にせかされ、急いでテーブルにつくと、クリスマスケーキを中心に、色々な料理が並んでいた。
「おばあちゃん、いつもありがとう」
　さすがにケーキはお店で買ってきたようだけど、料理は全部祖母が作ってくれたようだ。
「いただきます」
　四人で一緒にクリスマスの団欒を楽しんだ。
「おいしいね！」
「そうね、とっても美味しい」
「ねえママ、サンタさんかえでのほしいものわかるかな？」
「どうかしらね」
　去年プレゼントした『魔法少女ミスティックエール』のキラキラコスメセットを、楓はとても喜んでくれた。
　今年も迷った末、『魔法少女ミスティックエア』の人形を従業員割引で購入したのだが、喜んでくれるだろうか。

「サンタさん、まだかな？」
「寝ないとサンタさんは来てくれないわよ」
「はーい。おやすみなさい」
（私のときはいつまでサンタを信じていたかしら）
　思い返してみたが、はっきりとは思い出せないのだった。
（クラスの誰かが、サンタなんていないんだよって言いだして……嘘だって思ったけど、いつの間にか）
　いずれにせよ智依子は13歳で妊娠して、サンタを信じるふりをする子供らしい時代を早々に手放してしまった。
　
　そっと様子を伺うと、楓は布団をかぶって寝たふりをしているようだ。
　智依子は部屋の前を離れ、食器の片づけを済ませた。
（楓は、ずっと無邪気なままでいてほしいわ）

　もうしばらく待って覗くと、楓はすやすやと寝息を立てていた。
（大丈夫そうね）
　智依子は忍び足で近づき、そっとプレゼントを枕元に置いたのだった。

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あとがき

担当マスター：天村花海
ファンレターはマスターページから！

　ご参加ありがとうございました。
　作る人、買う人、作ってもらう人。さまざまなケーキを楽しませていただきました。
　クリスマスも普通の日も、ケーキはいいですよね♪

　今年もいろんなケーキを楽しめることを願っています。
　というわけで、今年もよろしくお願いいたします。
　ご縁がありましたらまたのご参加をお待ちしております。

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