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時の流れの狭間にて
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決め手は愛情。使い古された陳腐な文言に聞こえて真理である。料理は科学と言う者もあるが同時に、メンタルの成せる技でもあろう。指先の繊細な動きや流麗な所作、段取りを組み立て盛りつけにまで気を配る。全てに心を行き届かせ一品として結実させるのだ。そこに提供する相手への愛が無ければいかにして成し遂げられるというのだろうか。
などと
綾辻 綾花
が小難しく考えたわけではなくて、要するに自然とそうしてしまうのだ。愛する人を想えばより良いものを、より美味しく健やかなメニューをと考えるのはごく自然なこと。理屈ではないのである。
「うん。いいお味ですね♪」
味見をするとこれがなかなか、良い出来だ。思わず頬がほころぶ。イタリアンを好む
早川 珪
のため、今日はコース料理でもてなす予定だ。料理教室に通ってレシピはいくつも覚えたし、彼の好きな銘柄のワインも用意した。お気に入りの雑貨店で食器やカトラリーにランチョンマットも揃えた。準備は万全だ。
「そろそろ珪さん、来る頃かな……?」
火を止めて鍋を覗き込む。綾花は穏やかな笑みに彩られていた。料理を楽しみ、彼を想い、とくとくと弾む心のまま自然の表情を、時間は切り取った。
街へ現出した奇怪を珪は静かに見据えた。時にこうしたことが起こる島だというのは彼も否応なく身に染みてきたところであろうが、それでも眉をひそめた。
「時間が止まっている……のか」
珪のみが歩き、珪のみが物思う。時の狭間の世界に彼は立っていた。それは寝子島の見慣れた光景を映し出しながらも、まるで鏡に映る異世界へ入り込んだようなおぼつかない感覚を彼に抱かせたことだろう。
シーサイドタウンを行けば多様なポーズで静止した人々が並ぶ。男も女も年齢の別もなく、動物や植物、自然までもが時を刻むことをやめていた。
「止まった時の中に閉じ込められるっていうSFが昔、あったな」
学生の時分に読んだ思い出の一冊など想起したものだろうか。彼はふと笑んだ。島の見せる奇態に慄くことも無いではないが、此度のこれはと言えば警戒すべき程でもないようだ。静止した時の中を蠢く怪物がいるでもなし。時を止めた能力者が異端狩りに鉈やら斧を振りまわすでもなし……などと、彼の胸の内には古典SFから先鋭的な近作まで数々の名著が浮かんでは流れていったことだろう。
そしてきっと彼は思うのだ。物語はたびたび愛によって運び、愛によって転び、愛によって終幕を迎えるものなのだと。
「綾花さんはどうしているだろう」
彼は少しばかり逸るように歩き出した。
こうなる前はちょうど綾花の家へ向かうところだった。今日は手料理をご馳走してくれるとのことだったから、彼女はその準備をしているところだっただろうか。
綾花のマンションに到着するにあたり珪は首を傾けた。当然ながら部屋には鍵がかかっているはずではないか。止まった時の中でインターホンは鳴らないだろうし、鳴ったところで彼女もまた静止しているのなら出迎えてくれるはずもない。不用心なことだが彼女は時折鍵をかけ忘れることがあったから、今日ばかりは珪もそれを期待してしまったことだろう。ダメならばベランダあたりから少し覗いてみたり、あるいは再び時が動き出すのを待つしかない。
果たして扉は滑らかに開いた。彼女のお気に入りのアロマの香りが鼻をくすぐる。
「綾花さん?」
一声かけて部屋へ踏み込むなり珪は、目を白黒させた。開いたカーテンの向こう、ガラス窓を通して差し込む陽気とともに目に入るのはハンガーにかけられて風に揺れる綾花の下着だった。忘れているのかあるいは珪が到着する前に取り込むつもりだったのだろう。
「ええと……」
ふいと目を逸らしキッチンを覗くと、そこに彼女はいた。思った通り料理中だ。もう完成も間近といったところだろう、食卓には完成済みのメニューが緩やかにラップをかけられて並んでいる。パプリカとサーモンのカルパッチョ。トマトとチーズのブルスケッタ。バーニャカウダもある。綾花が茹でているのはペンネで傍らにはアラビアータソースが用意されていた。光が灯るオーブンの中ではパン粉をまぶした豚ヒレ肉が何とも香ばしく焼き色をつけられているところだ。ある程度食事が進んだところで取り出し、切り分けてくれるのだろう。
珪は彼女に見入った。これらのメニューを全て、珪のためだけに手ずから作ってくれている彼女は仄かに笑みを浮かべ、楽しそうだ。以前に彼女が語ってくれた。決め手は愛情。珪を想うからこそ料理は楽しく、美味しく出来上がるのだと。そう言っていた。
「……綾花さん」
思わず抱きすくめそうになるも珪は躊躇いを見せた。そういうことは彼女が動いている時にするべきだ、とでも考えたのだろう。
踵を返し、リビングへ。テーブルの上に開いた旅行雑誌の青森特集に付箋が張られているのは、珪の実家へ旅行する計画を立てているからだ。その隣には料理のレシピを書き留めたノート。要所は色付けされ、その周りに可愛らしい猫の絵などが踊る。
「ふふ。綾花さんらしいね」
転がっていたペンを取り、いつもお疲れ様、とノートへ書き添えた。そしてソファに腰かけ微笑む。早く時が動き出せばいいのに。待ちきれないように落ち着かないそぶりで、キッチンの向こうの横顔を彼はしばし眺めていた。
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担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
恋愛
SF・ファンタジー
NPC交流
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年12月09日
参加申し込みの期限
2024年12月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年12月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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