ハロウィン☆デイズ・オーバータイム！｜リアクション

ハロウィン☆デイズ・オーバータイム！

「こんなものかな？」
　日曜日。寝子高１年の朝永真深は、肩を出した和ゴスの衣装を身にまとい鏡の前に立ちました。
　裾にレースがついた黒い着物に、大きなリボン風の帯と差し色の紫がハロウィンカラーで、真深にとてもよく似合っていました。
　鬼のような角がついたカチューシャであやかしをイメージしています。
「今日一日楽しむわよ！」　
　大人しそうに見える真深ですが、こんなふうに興味が向いたことには謎の行動力を発揮するのでした。

「ハロウィン料理コンテスト！　参加します！」
　特にメニューも決めないまま、駅ビルの会場でコンテストにエントリーしました。
「これが材料ね……」
　材料を見て少し考えた真深は、まず小ぶりのカボチャを用意しました。
　さらにベーコンや調味料などを持って調理台へ。
　大きなスプーンで、カボチャの中身をくりぬきます。
　そして彫刻刀でカボチャの表面に顔を彫りました。
「器はこれでよし、っと」
　くりぬいたものから種とワタを除き、果肉を取ります。
　そして短冊切りにしたベーコンと果肉を耐熱ボウルに入れてレンジへ。
「3分加熱ね」
　チーン。
　できあがると粗熱をとり、スライスアーモンド、レーズン、シーザードレッシング大さじ2を混ぜ合わせました。
「取っておいたカボチャの器に、具を盛って……さらにシーザードレッシングを大さじ2杯かける」
　真深はカボチャの器を高々と差し上げました。
「ハロウィンカボチャサラダの完成！」

　できあがった料理が並べられ、審査が始まります。
「うん、これは美味い」
　真深のカボチャサラダを食べた審査員が頷きました。

　そして結果発表。
「準優勝……朝永真深さん！」
「やったあ！」
　両手を上げて喜ぶ真深。
　そんな真深に、観客席から何者かの熱い視線が注がれていました。

「賞品に駅ビルの商品券もらっちゃったわ。この後は仮装コンテストを見に行こうかな」　
　うきうきと会場を出た真深に声をかける者がありました。
「お嬢さん、ちょっと時間あるかい？」
「えっ？」
　そこに立っていたのは、海賊のコスプレをしたサンマさんでした。

　
　夕方のシーサイドタウンの特設ステージ。
　真深は観客席ではなく、ステージ袖で出番待ちをしていました。
（……まさか料理コンテストの様子を見られてサンマさんにコンテストにスカウトされるなんて）
　もちろんどんなパフォーマンスをするかなんて考えていませんでした。
（即興でできそうなのって結局歌かダンス……でもどっちもあんまり得意じゃないのよね。さて……）
　ちょっと考えた末に。
（あー、そういえばソシャゲのキャラで、ハロウィンネタあったわね）
「次の方、どうぞ！」
　ついに真深の出番がやってきました。

　堂々とステージ中央へ進んだ真深は、ゆっくりと会場を眺めまわし、そこかしこにいるカップルを見つめます。
　そして口を開きました。
「あたしは鬼のマミだ。……なんだお前たち？　ハロウィンだからって仮装してイチャイチャしてんじゃねー！」
　どっと笑いが起きました。
　中沢リッカルド町長が手を叩いて大喜びしています。
（こ、こんなんでよかったかしら？）　
　終わってからちょっと恥ずかしくなりつつ、真深はステージを降り審査結果を待ちました。

　結果は……
「審査員特別賞、鬼のマミさん！」
「うそぉ！」
「賞品は超高級ホテルステッラ・デッラ・コリーナのペアお食事券です！」
「ありがとうございます！」　
　一日で二つも賞をゲットし、充実したハロウィンとなったのでした。

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