ハロウィン☆デイズ・オーバータイム！｜リアクション

ハロウィン☆デイズ・オーバータイム！

「珪さん、とっても似合ってます」
「そうかな。綾花さんもとても可愛いよ」
　綾辻綾花は、早川珪と共に吸血鬼の仮装をしていました。
　ハロウィンパレードに参加するのです。
　珪は白いブラウスに黒ベスト、黒いマントの裏地は深紅というまさにバンパイアの出で立ち。
「珪さんの吸血鬼姿は違和感ないぐらいカッコいいです。私はミニスカートなので恥ずかしいです」
　綾花のマントは少し短めで、手袋は長いのですがスカートは短いものでした。
　綾花は珪の耳元で囁きました。
「見えてもいい下着をつけてるけど風が吹くと気になっちゃいます」
「……風が吹いたら、僕がガードするよ」
「お願いします」
　
　二人は手をつなぎながらライトアップされた道を歩きました。
「綺麗ですね」　
　シーサイドタウンから星ヶ丘まで。
　キラキラした街並みや人々の仮装を楽しみつつ、二人はゆっくり歩きます。
「恋人たちも多いですね……今年は恋人として参加出来てるのが嬉しいです」
「あの人たちはなんの仮装だろう？」
「魔界っぽいですね。……令嬢と軍人さんとか？」
「そうだね。僕もそんな感じだと思う」
　おしゃべりするのは楽しいですが、珪が他の綺麗な女性に視線を向けるのはちょっぴり悔しくて。
　綾花は珪の袖を引き、前方の幟を指さしました。
「あ、あれは途中のチェックポイントのお店みたいです」

　綾花は足を止めて、籠を持った店の人に声をかけました。
「トリックオアトリート」
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
　笑顔の店員さんからもらったお菓子を、さっそく綾花は珪に見せます。
「店の人からお菓子を貰えました。お菓子もハロウィン仕様でかわいいです」
　コウモリやジャックランタンのイラストで飾られたお菓子に、綾花の顔は嬉しそうにほころぶのでした。

　パレードを終えた人気のない帰り道。
「トリックオアトリート」
　いたずらっぽく、珪が言いました。
「珪さん？　……言われてもお菓子持ってきてないです」
（どんないたずらされちゃうのかな？）
「目を閉じて」
　ドキドキしながら、綾花は目を閉じました。
　一瞬の後、頬に冷たい感触。
「えっ？　何したんですか？」
　触れてみると、頬にシールらしきものがついていました。
「もう、珪さんったら。それじゃ私も、トリックオアトリート！」
「おや、困ったな」
（珪さんがもしお菓子持ってきてなかったら吸血鬼の真似で首にキスしようかな）
　でも、キスすると照れちゃいそう。
（これまで何度もキスを交わしててもドキドキしちゃいます）
　珪はあちこちポケットをさぐると、チョコレートを取り出し綾花に渡しました。
「……半分こにして食べたいです」
　お菓子があってちょっと残念かも、と思った綾花は言うのでした。
「珪さんのお部屋でハロウィンの続きを……」

　珪は黙って頷きました。
　二人のハロウィンは、まだまだこれからです。

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