ねこじま宇宙人狼『ニャモング・アス』｜リアクション

ねこじま宇宙人狼『ニャモング・アス』

〇議論

「議論フェーズです。柏村さん以外の方はこちらへ集まってください」　
　エムアの声に、４人はゲーム画面から離れ、リアルに顔を合わせた。

「死体の場所は電気室の手前か」
　口火を切ったのは武道。
「停電復旧に向かったら柏村さんの死体を見つけた」
　通報者である流が言う。
「文也さんとは停電まで近くでタスクをやってたよ」　
　真白が言う。
　しかし殺された文也はこの場には集められていないため、証言が正しいのか表情を伺うことはできない。
（位置情報、視認情報はどんどん出していこう。
……まぁ、見落としてる時もあるだろうし正確に覚えてるとは限らないけど。うろ覚えでもいいからどんどん情報を出していこう）
「停電になった時、文也さんが急いで出ていくのが見えた。だから私は安心してタスクを続けてたよ」　
「俺はみんながどっちに行くか確認したかったから、部屋を最後に出た。文也さんと真白ちゃんは確かに同じ方向に走っていったな」
　そう言ったのは武道だ。
「僕は……医務室でタスクをやってた」
　想花が言うが。
「それを証明してくれる奴はいるのか？」
　流が突っ込んだ。
「……いないけど。ぼくじゃない！」
　感情的に反応する想花。
「想花ちゃんはカフェテリアから俺のすぐ前に出て行ったね。流くんと同じ方向だったから、彼が見てないなら誰も証明できないんじゃないかな？」
　冷静に指摘する武道。
「一緒にはなってない……けど、ぼくじゃない。じゃあ流くんはどうなの？　行動を証明してくれる人はいるんだろうね？」
　想花の挑発にも、流は冷静に答えた。
「俺がニャンポスターだったら通報する必要なくね？　柏村さんと一緒に上部エンジンでタスクをやってたぜ」
「どうかな？　ぼくはやってないから、文也さんがキルされた時に近くに誰もいなかったなら、流くんが一番怪しいんじゃないの？」
　じっと話を聞いていた武道が言う。
「俺が気づいた時には死体の近くに流くんが見えた。想花ちゃんは近くにいなかったからなんとも言えないね……ところでタスクの進行具合だけど」
「俺はドア閉めに対処してたからちょっと時間食っちまって、あまりタスクは進んでないけどな、そのまま停電復旧に行ったから」
　と流が言う。
　
「投票時間です。ゲームに戻ってください」
　エムアの指示に従い、皆は投票した。
（僕疑われちゃってるよね……票が集まりそうな人に投票、とにかく追放をめざす！）
（確定か二択になるくらいまではあまり吊りたくないかな。吊るのは他の人と合わせる形にしよう）
（投票は、自分より後に部屋を出ようとした人か、タスクをあまりこなしていない人に）

　結果は……
『同点により、誰も追放されませんでした』
　とメッセージが出て、再び作業フェーズに入ったのだった。
　

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