【星幽塔】第八階層　星の森のキャンプモニター☆｜リアクション

【星幽塔】第八階層　星の森のキャンプモニター☆

「まあ、ヒマだしひと働きするかね？」
（要は正式オープン前に問題点を見つけておけってことか。こういう仕事は盗賊であるあたしにはおあつらえ向きだね）
　ほしびとのティオレ・ユリウェイスは、酒場で見つけた依頼に応じ、ダソスキャンプ場のモニターを引き受けました。

「キャンプをしてみて、改善点を提案すればいいのかな？　ワットも気付いたことは言ってみてね！」
　いつの間にか星幽塔に来ていた稲積柚春は、ウォルター・Bとともにモニターを引き受けることにしました。
「キャンプと言えば、森林浴！　自然の香りを胸いっぱいに吸えるって気持ちがいいよね」
　
「普通のとグランピング、どっちにしよう？」
　八神修は、七夜あおいに尋ねました。
「迷うね。どっちも楽しそう」
　あおいの言葉に、修は言います。
「一日交替にして、三泊目は、より好評のでも良いね」
「グッドアイディアだね」

「今日のデートは星幽塔でキャンプですね」
　綾辻綾花はわくわくしていました。
「三泊できるんですか。では、テントは二張お借りしたいのですが」
　一緒にやってきた早川珪はそんなことを言っていますが。
「私は珪さんと一緒のベッドでもいいですよ。珪さんさえよければ……」
　綾花は頬を染めて寄り添います。
　まだ告白前で教師と生徒なのですが、恋人になったらつけるペアリングも予約済みなのです。
「いや、それは」
　さえぎろうとした珪を、ドキドキしながら見つめ、綾花は言いました。
「一歩進んだ関係になるのは卒業してから、ですよね？」
「……そうだね、少なくとも今ではない」
　大胆な発言をしたことに気付いて、綾花は赤面しましたが。
（でも間違ったことは言ってないです）　
　柚春はウォルターに言いました。
「寝袋は別々だし、一緒のテントだってかまわないよねえ？」　
「稲積が誘惑してこないなら構わないけどねぇ？」
　冗談めかして答えるウォルターに、
「いや、だめですよウォルター先生。僕と一緒のテントにしましょう」
　珪は生真面目に止めるのでした。
「それがよさそうだねぇ」
　ウォルターも頷きます。
　綾花はもうすぐ卒業ですが、柚春は卒業まであと1年あるのです。

　そんな様子を、ニヤニヤしながら眺めていたオーナーは言いました。
「多人数テントも個別のテントも試してほしいから両方用意してある。女性は女子用共用テントを着替えに使うといい。夜は二人のテントに行くのはご自由に」

「でも心配なのは虫だね。気休めかもしれないけど虫除けのアロマで虫刺されを予防しよう」
　アロマに詳しい柚春は、ペパーミント・シトロネラ・ゼラニウム・レモンユーカリなど、虫除け効果のあるアロマを準備していました。
「化粧水タイプのミストを服や肌に塗ることもできるけど、キャンプっぽさを保ちつつ虫除けだったら、ランタン型アロマディフューザーはどうかな？
もし刺されてしまったらカレンデュラオイルなんかをベースにするのもいいかも」
　ウォルターは頷きながら柚春の話を聞いています。
「あと、この地域独特の生き物がいるなら、それ用に香りをカスタムするのもいいよね。熊避けに唐辛子の香りを撒くこともあるらしいけど、人間が肌に直接塗るには危ないから、キャンプ場の柵とかに塗布するとか。僕が思いつく改善案はこれくらいだけど……」
　オーナーさんはどんな意見を求めてるかな、とそちらを伺うと。
　オーナーはいたく感心した様子でした。
「大したもんだ。参考にさせてもらうよ」
「さすが稲積だねぇ」
　ウォルターにも褒められ、柚春は笑顔でスプレー容器を取り出しました。
「それじゃ虫除けの効果を試そうね。スプレーにしたから簡単につけられるよ」

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