【星幽塔】第八階層　星の森のキャンプモニター☆｜リアクション

【星幽塔】第八階層　星の森のキャンプモニター☆

「暗くなってきましたしキャンプファイヤーしましょう」
　綾花が言いました。
　薪を組んだところに星のオイルをかけると、空から星が降ってきて小さな火が灯りました。
「どんな色の星が集まってくるのか楽しみですね」
　星の力を注ぐと、ピンク色の星と青い星が空から降りてきて踊るように絡み合い、一つになって輝きました。
「綺麗……」
　珪と見つめ合って寄り添って腕を絡めて、綺麗な光景にうっとりする綾花でした。

　少し離れたところで柚春がウォルターとキャンプファイヤーを眺めていました。
「夜は思った以上に真っ暗だけど、ワットの髪は灯りを反射して安心できるね」
「スキンヘッドのほうがよく光るんじゃないのかい？」
「もう、ワットったら。離れないでね。僕の灯りなんだから……」
「星が綺麗だねぇ」
「うん……」

　キャンプファイヤーに集まった星たちは空に帰り、残り火を焚火にしました。
　いつのまにか綾花と珪は、寄り添いあってうつらうつらしていました。
（おやすみなさい……）
　手をつないでほっぺにちゅ、とキスをしたような気がしましたが。
「綾花さん、起きて。テントに戻らないと」
　優しく揺り起こされて我に返りました。
（あれは夢だったのでしょうか）

「疲れたかい？」
「ちょっとね。修君は？」
「俺はあおいがいっしょだから、大丈夫」
　修はそう言ってミルクたっぷりの紅茶をあおいに差し出しました。
「ありがとう……美味しい。夜の森って、ちょっと怖くない？」
　紅茶を飲んだあおいがぽつりと言うと。
「俺がいるよ。二人なら、暗闇でも道だって見つけていけるよ」
　修は焚火から串に刺した焼きマシュマロを取り出し、あおいに差し出して。
　優しい笑みを向けるのでした。
「あ、けど、篝火か何か増やしておくか」
　心の支えだけじゃなく具体的対策も取るのが修です。
　あおいにとって頼れる男でありたい、と心から思うのでした。

　こんな風に一日が終わり、翌朝。
「珪さん、よく寝れましたか？」
「……そうだね、いつの間にか眠っていた」　

「ワット、虫に刺されてないよね？　アロマが効いたみたいで、紛れ込んだ虫もすぐに出て行ったよ」　
「ありがたいねぇ、僕も刺されてないよ」

「自分たちで作るのもいいが、食事はこちらのほうが落ち着くな」
「美味しいね！」
　翌日はグランピングに切り替えた修とあおいは、贅沢なキャンプを満喫しつつ、モニターとしてレポート書きにいそしむのでした。

　ティオレはヒカリグモのハンモックを試したり近隣の山を散策したり、精力的にモニター活動を続けました。
　するとオーナーが声をかけてきました。
「よく働いてくれるねえ。今日からグランピングプランに切り替えるといい。追加の金はいらないよ」
「そいつはありがたいね。お言葉に甘えさせてもらうよ」

　３泊４日はあっという間に過ぎていきました。
「今日でおしまいか。早いものだね」
　珪の言葉に、綾花は幸せそうに頷きました。
「３泊も一緒に過ごせて充実してて楽しかったです」
「本当に充実していたね」
　
　普段の生活に戻っても、このキャンプのことはしばらく頭から離れないのではないか。
　皆、心地よい疲れの中でそんな予感を感じていたのでした。

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