煌めきの星に願うこと｜リアクション

煌めきの星に願うこと

「寒いねぇ」

　一方で、茉奈と別れた後の桜は匠と一緒に望遠鏡を設置して色々な星を眺めていた。
　あれじゃない、これじゃないと言い合いながら、フードとドリンクで体を温めつつ、空の海を堪能する。
　冬の星座の逸話のあれこれを語り合うのも楽しくて、いつの間にか時間は過ぎていた。

「あれ？」

　ふと、桜の視界に輝く星が映り込む。その色は……なんと七色に光り輝く星。
　そんな星あった！？　なんて驚いたのもつかの間、あれが煌めきの星なのではないか、と匠の方にも聞いてみた。
　もちろん、匠の視界には別の色の星が映り込んでいる。どんな色かは教えてくれなかったが……。

「でも、七色って嫌な噂があったような、なかったような……」

　桜がここに来る前に調べた情報では、こんな話があった。

　――七色の煌めきの星は不吉な印。
　――帰り道には気をつけて、家に帰るまでその効果は続くのだから。

「……ま、まさか、ねえ？」

　そんなまさか、不吉の印だからってヤバいことは起こらないでしょ、と匠と一緒に笑った桜。
　一応その話が本当かもしれないというのを念頭に置いたうえで、もう少し楽しんでいく。

　だが忘れてはならない。ここは山。
　いつもの町並みでは起こり得ない、小さなトラブルが発生しやすい場所。

　不吉の印に魅入られた桜は砂利で足をすべらせたり、木の実が突然頭に落ちてきたりと言ったトラブルに見舞われる。
　そんな彼女を慰めるのは、魅入られていない匠の方だったとさ。