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妖✕祓い屋 ~繋がるモノたち編~
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元をたどれば一介の薬種問屋ながら嫦娥堂の商いは実に手広く、今では米や酒、干物に鰹節、漬物に菓子といったものから呉服に足袋に古着に扇、金物や研ぎ、提灯、本や絵まで扱い、唐物は南蛮人や紅毛人とも直に取引をし仕入れているそうだ。
都の庶民にも侍や大名にも重宝される、そんな嫦娥堂を取り仕切るのは加瀬家という豪商で、当代の主は
加瀬 礼二
といったが、これがとかく癖の強い人物として知られている。
「嫦娥堂には大層世話になっているのだが……」
「ああ、あの主人の目つきがな」
「蔑むような物言いも癇に障るよ」
「しかしそれが巷の娘っ子の興をそそるのだとか」
「面白くない」
「知っているかい、嫦娥堂に出入りする稚児のような少年」
「娘どもを袖にして、裏では……」
裏手で密やかに交わされた噂を、
遊琳
が耳をそばだて聞いていた。件の稚児、ではないのだが少なくとも幼さ残す面の美少年であった。彼は馴染みの商人たちがその場から去ると、眉を吊り上げ不機嫌を隠さず主のもとへやってきた。
「主様! 団扇問屋の佐原屋と地本問屋の芦屋、あいつらとの商いはよして。今日も主さまのこと、ひどい言い様に……」
「遊琳、いつも言っているでしょう。口さがない噂など捨て置きなさい。それで彼らの気が済んで、変わらず鴨葱背負ってやってくるんだから、遠慮なく搾り取ってやればいいんですよ」
礼二はけろりとして、悪びれることもなく言った。確かにいささか商いに疎い彼らとの取引は襤褸儲けもいいところなのだが、遊琳としては主への悪口雑言そのものが我慢ならぬのだった。
「主様のこと、良く知らないくせに」
「あなただけが知っていればいいでしょう。そんなことは」
半ばほどは彼のそんな言葉を聞きたくての告げ口だったりするのだが、もちろん遊琳がそこまで述べることはない。
途端に機嫌を良くした遊琳へ、礼二は「ああそうそう」と思い出したように告げた。彼の蒼い瞳が良く研いだ刀めいて細まると、遊琳も背を正す。
「今夜はまた、お客さんをもてなしますからね。あなたも準備をしておきなさい。せいぜい美味しそうに着飾るんですよ」
「はあい」
遊琳の胸は弾んだ。冷たい瞳の奥に秘めた主の感情を、そのあたたかさを遊琳だけが知っている。確かにそうだ、あんな三流商人たちなど眼中に入れることもないのだ。
今夜の仕事を巧みにこなせば、褒めてもらえる。それだけで遊琳には十分なのだ。
加瀬家には裏の顔がある。あえて喧伝するでもないが知る者は知るその稼業は、祓い屋であった。市井にはびこる、あるいは外より彷徨いこんだあやかしを誅滅し民を守る。
実に高邁な生業と遊琳などは思っているものの、当の主がそのように殊勝な心持ちであるのか、あるいは代々長く続く祓いの術を継いだがための仕方なしであるのか、遊琳にはようとして知れなかった。同業者からの加瀬家のいわれなき誹りにも主は意に介さず、遊琳にはその胸中もまた窺い知れない。しかし構わない、主に尽くすことができる喜びだけがあればいい。
「さ~って、お仕事お仕事」
跳ねるように道をゆき、夜の暗がりに寝そべる河岸を眺めた。先日はここに海龍など現れたという。水場はあやかしとも縁深く、また船問屋でもある嫦娥堂にとって文字どおりの生命線でもある。
近頃そんな河岸の周辺にて恐ろしいあやかしが目撃されている。大根売りの棒手振が商いを終え波間を眺めながらに一服していると、河岸へ今にも沈みそうな小船が一艘やってきて次々と人影が上陸したそうだ。彼らは一様に甲冑姿で、欠けた刀や折れた槍を持ち、ある者は腕を落としある者は首を落とし、全身くまなくに矢を突き立てられていた。白んで血の気のない肌はまるで亡者のごときであったという。
まるでも何も、と遊琳は思う。
「このあたりかな~」
トゲトゲ、と遊琳が呼ぶあやかしの出没の予兆を感じ、河岸の縁へ腰を下ろす。足を挫いたとばかりに弱々しく、食べごろの餌を装うのが遊琳のやり方。もちろん食い付かせるつもりは毛頭ないが故に、囮が遊琳の役どころなのだった。
「ちゃんと見ててね、主様」
今は姿の見えぬ主へか細く呼びかけながらにむんと力を込める。漂う甘い香りは遊琳自身の体臭であり、自由にその強弱を調えることができる。遊琳は金木犀の樹霊と兎の霊という、本来であれば交わることのないあやかしが交わった結果生まれた稀有な存在だ。あやかしの気配を嗅ぎとり、夏の虫を誘うように惹きつける。そこを主が祓いの術でもって仕留めるという寸法だ。ともすれば文字通り餌食となりかねない役回りだが、遊琳はこれを進んで引き受けた。その行いこそが主との繋がりと信じているので。
ややあって小船が河岸へ激突するほどの破壊を伴って乗り上げ、件のあやかしどもが上陸を果たした。
「うわぁ……」
遊琳は思わず顔をしかめた。
礼二は嘲りの色を帯びる瞳で睥睨する。
「ほう、落人ですか。今時源平の名残りでしょうかねぇ」
哀れな亡霊たちはさっそく暗闇にまばゆく輝く篝火がごとき存在を見つけ、苦悶の呻きと共に歩み始める。鈍重ながら甲冑の軋みは目に見えぬ重圧となって波のように押し寄せた。
「さて、俺のあやかしはと……ああほら、まったく、幼子のような無防備を晒して。早く逃げないと、美味しく頂かれてしまいますよ?」
哀れといえば礼二と主従を結ぶ少年の姿をしたあやかしだ。かつて気まぐれに契約を結んでやったが、何を恩義に感じたか礼二に尽くしに尽くしている。嫌気が差したらいつでも主従を解き自由にしてあげましょうと言っているのに、彼は片時も主のもとを離れてようとはしなかった。愚かなことだと礼二は笑う。加瀬家に仕えてきたあやかしなど多くいるし、遊琳とてその一つに過ぎないというのに。
河岸の全体へ施した術を確かめる。仕掛けは上々、あとは機を待つだけだ。
「……本当。愚かですねぇ」
木板など容易く断ち割る刀に漆喰も石垣も貫きそうな槍の一突きを兎は避け、跳ねる。危急の時には獣を思い出すのか、四足をついて駆けた。必死だが礼二は滑稽だと思う。実際そうと口に出すし遊琳を笑い、同業者の前で手ひどく扱うこともあった。
もっとも礼二自身、気づいてはいないのだが。調伏し従え、あやかしを使い潰す冷血漢、食えない気質と周囲へ礼二を印象付ける程に遊琳から人の目は逸れ、くだらぬあやかしだの矮小だのと謂れなき誹りをこぼす者も減るだろう。そう意図せぬままの振る舞いだった。第一見世で出す茶などは遊琳が淹れたものであり、知らず口をつけては大仰な美辞麗句を述べて俺の機嫌を取ろうとするおのれらの無知蒙昧たるや、と憤ったりもするのだが、礼二が自覚に至ることはなかった。
「手筈通り。そろそろですか」
仕掛けた壷から立ち昇る香が、囮の糖蜜めいた香りを塗りつぶしつつある頃だ。礼二は目を細めて笑むが、そこに剣呑なぎらつきはない。
「ま、帰ったら褒美の一つでもやりますかねぇ」
遊琳が飛び退いたのを確かめ、諸手を地へ突く。香は奔流となって天を覆わんと噴き上げ、加瀬家に伝わる結界術は完成し、今まさに獲物へありつこうと刀振り上げた落人たちを絡め取り、礼二の眼前に広げた掛け軸の中へと残らず吸いこんでいった。
褒美といって、遊琳が何を欲しがるでもない。ただ礼二のある所作を求めるだけだ。
「主様……」
「見つめるばかりでは分かりませんよ。欲しいのなら、はっきりと口に出して伝えなければねぇ」
「うう~」
陽だまりに二人。加瀬家の屋敷の縁側に茶と茶請けを用意し、寝そべる遊琳の潤む瞳が礼二を見つめている。
「……撫でて。僕の名前を呼んで」
礼二はそっけなく、しかし拒むそぶりもなく手を伸ばし、金木犀の色をした瞳を覗き込みながらにそっと囁いた。
「琳」
いたずらに明かしはしない、あやかしの真名を礼二が口にするだけで、遊琳は蕩けるように弛緩してしまう。主の傍らに背を縮めて丸くなり、やわらかく髪をなぞる手のひらに身を任せる。それだけで幸福そうに、やがて穏やかな眠りに落ちてしまう。
愚かな兎だと礼二は思う。哀れな老人へ我が身を食せと命を投げ出した月の兎のように、あるいはそれ以上の献身を彼は礼二へ寄せる。主の気まぐれにこれでもかと尽くすのだ。
「まったく……」
すぴすぴと鼻を鳴らして寝入る兎の栗色の髪を撫でつけながら、彼もまた蕩けたように微笑むのだった。
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網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
バトル
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2024年05月20日
参加申し込みの期限
2024年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2024年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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