レッツ陶芸チャレンジ！｜リアクション

レッツ陶芸チャレンジ！

◆タンブラー

　稲積柚春はウォルター・Bとともに陶芸体験会にやってきた。
　じつは彼女は小学生のときに、学校行事で陶芸を体験する機会があった。しかしそのときは乾燥の工程で割れてしまい、うまくできなかった。だから今度こそ自分の器を作りたいと思って今回参加を決めた。

（せっかくだから、ワットとお揃いの何かを作ってみたいな）

　スタッフの説明を２人でしっかり聞いてから作業に取り掛かる。隣同士の作業スペースに座って、ろくろを回す。

「空気を抜くように捏ねる……パイと逆だね」
「なかなか難しいねえ」

　２人とも手を土まみれにしながら悪戦苦闘している。

（パン作りと違って、結構難しいかも）

　前回は縄文土器の作り方を参考に作ったけれど、今回はろくろも使えるので新しいことにも挑戦したかった。しかし、そもそもろくろと土の扱いが難しい。力を入れすぎると土がすぐに曲がってしまう。スタッフの手を借りながら、感覚を指に覚えさせる。

「何を作ろうかな……お茶碗、花瓶、オイルストーンとそれを置く小皿とか……」
「どれもいいねえ」

　だんだんろくろの扱いにも慣れてきて、実際に作るものを考える。

「僕もワットも使えるものがいいから、タンブラーにしよう」
「タンブラー？」
「熱いのも冷たいのも美味しく飲めるし、ビールの泡立ちがよくなるんだって」
「へえ」
「僕はちょっと大きめを作るから、あとで交換しない？」
「いいよ」

　そうして２人でタンブラーを作るため、ろくろに向き合う。時々お喋りを挟みつつ、だんだんとそれらしい形になっていく。最後の仕上げはスタッフに手伝ってもらい、それぞれのタンブラーができあがった。
　焼く工程はすべてスタッフが担当するため、一旦スタッフにできたものを預ける。

（小学生のとき、焼く途中まではやったなあ）

　柚春がやったときは粘土で成形、乾燥、素焼きまでだった。模様も当時は竹串で描いていたので、今回のような釉薬をかけるような工程は初めて。

（今度は割れずにできたかな……？）

　全ての工程が終わり、取り出された自分の作品をドキドキしながら色んな角度から眺めてみる。粘土の状態から少し小さくなったものの、形はほとんどそのままで成功していた。その喜びをウォルターとともに分かち合う。

「はい、ワット」

　ウォルターは柚春から差し出されたタンブラーを受け取り、自分が作った少し小さめのものと交換した。

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