【卒業生を送る会】未来へ向かってバイバイバイ♪｜リアクション

【卒業生を送る会】未来へ向かってバイバイバイ♪

☆卒業生送り出しパーティー！

「まあ」
　綺麗に飾り付けられた体育館に足を踏み入れた巫部紫苑は、思わず声を漏らし瞳を輝かせました。
　白いテーブルクロスの上には、豪勢なごちそうが何種類も並んでおり、ホテルのパーティー会場のようです。
　去年は送る側だったので紫苑も料理作りに加わったのですが、今年は送られる側なので思う存分食べるほうに専念できます。
「学校で立食パーティなんて素敵ですね♪　どの料理も美味しそうですし、まずは料理を端から順番に食べていきましょう」
　さっそく紫苑はお皿を手に、色々な種類の料理を取り分けて山盛りにしていきます。
「鶏の唐揚げ、フライドポテト、マッシュポテト。ステーキはレアとミディアムもありますね。サンドイッチ各種に、こちらは桜餅……」
　皿が山盛りの料理でいっぱいになると、空いたテーブルに置いて。
「いただきます♪」
　笑顔で料理を味わいます。
　量もスピードもすごいのですが、食べることが大好きな紫苑の食べっぷりはみんな知っているので驚かれることもありません。
「う～ん、やっぱりどれも美味しいです♪　これが食べ放題だなんて、素晴らしいパーティですねぇ」

「今までありがとうございました」
　綾花はお世話になった先生方にあいさつしていました。
（卒業式の時にこうしてあいさつとお礼を伝えられるか分からないから）
　もちろん、珪先生にも挨拶とお礼を伝えます。
「図書委員会でもクラスでも、本当にお世話になりました。ありがとうございました」
　頭を上げた後珪を見つめ、心の中で、こう付け加えます。
（これからもずっとよろしくお願いします）

「ツッキー、こんな時まで絵を描いてるのかい？」
　八十八旗信彦は、体育館の隅で絵を描いている月詠に声を掛けました。
「壁の花ではないが、ちゃんと食べてるし飲んでるよ」
　見れば隅に台が用意されており、サンドイッチや飲み物などの料理が載っているのでした。
「興味なかったらここにいない。人生で何度もないものだから記録していくさ」
　そう言いながらも月詠は手を動かし続けています。
「人生で何度もないのは同感だね。卒業はめでたいけど、俺の卒業でレディ達の笑顔が曇ってしまうのはいただけないなぁ」
　うんうんと頷くと、
「俺はレディたちのために準備があるから失礼するけど、楽しんでね」
　信彦は手を振って離れていきました。
　それに手を振って応えつつ、月詠はドレス姿の卒業生たちに目をやります。
「油絵にしようかな。鹿鳴館のパロディだ。寝子高は華やかである事を知らしめていく」

「あれ、絢ちゃんまだバニー姿のままなの……？」
　パーティで絢と合流しようと思っていた真優理でしたが、絢のバニー姿に再び目を丸くしました。
「先輩、記念撮影お願いします！」
　後輩に囲まれて記念撮影をねだられているようです。
（どうやら好評を博したようね）
　この分だと、少なくともパーティが開きになるまではずっとバニーの格好でいるようです。
　真優理はそっと絢に近づいて、言いました。
「私も一緒に写りたいな」
「真優理さん？！」
　こうして、一緒に写真撮影することとなったのでした。