【卒業生を送る会】未来へ向かってバイバイバイ♪｜リアクション

【卒業生を送る会】未来へ向かってバイバイバイ♪

〇キャンドルサービス

　宮祀智瑜は、パフォーマンスを見て楽しんでいました。
　会場の照明が落とされます。
「次は、キャンドルサービスです。移動される方は足元にお気をつけて……」
　司会の説明を聞きながら智瑜は考えます。
（キャンドルサービスですか。席を移動してもいいんですね）
　ＬＥＤのライトキャンドルを二つ受け取って、智瑜は自分の席には戻らず、少し離れた場所に向かいました。
　そこには桐島義弘先生の姿がありました。

　スイッチを入れて赤く光るキャンドルを一つプレゼントしながら、智瑜は囁きました。
「義弘先生、次のパーティーに一緒に行きませんか」
「……パーティには、顔を出すつもりだ」
　小さな声で義弘先生が答えます。
　

　在校生や保護者などから寄せられた卒業生へのメッセージや、卒業生からの感謝のメッセージが読みあげられていきます。
「この会を開いてくれた有志や在校生の皆さん、お世話になった先生がた、学校関係の者の方々、ここまで育ててくれた保護者のみんな、一緒の時を過ごした友人や同級生のみんなに、心からのありがとうを」
　彰尋は自分のメッセージが読み上げられるのを聞きました。

　そんなメッセージを聞きながら、智瑜はうるうるきていました。
「……宮祀？」
　心配そうな義弘先生に、ちょっとしんみりしつつ智瑜は笑顔を向けました。
「こうして集まるのは最後ですから。次は卒業式なんですね……」

　
（１年生の時は先輩を見送ってボロボロ泣いたっけ）
　羽生碧南は、当時のことを懐かしく思い起こしました。
（それからあっという間に３年になり、来月には卒業だなんて。まさか女バスのキャプテンになり、インターハイ準優勝とウィンターカップ全国優勝に導くなんて自分でも思わなかったわ）
　さすがにまだ卒業式にもなってないのだから、泣くなんてことはしないかな……
　そう思ったこの時は、まだ余裕だったのでした。