【卒業生を送る会】未来へ向かってバイバイバイ♪｜リアクション

【卒業生を送る会】未来へ向かってバイバイバイ♪

☆ラストダンス

　時計を見て修は、会の終わりが近いことを確認しました。
　そしてあおいの元に歩み寄り一礼しました。
「修君、もう一度踊るの？」
　あおいは微笑みました。
「ああ。俺の高校生活はあおいと出会って色鮮やかになった。だから最後も、あおいと」
　あおいは頷いて、二人は踊り始めました。

「俺と過ごしてくれて有難う」
　修はポケットから猫キーホルダーを取り出して見せ、笑いました。
　それは先日の冬至の日あおいと送りあったもので、修のものには『キミナラデキル』と文字が刻まれていました。
「この言葉を胸に、頑張るよ。でも、弱気になることもあるかもだ。その時は頼っていいか？」
「えっ？　修君が？」
　意外そうにあおいは修の顔を見つめます。
「俺だって分からない事とか心細くなる時もあるさ」
「ホントにぃ？」
「ホントホント。分からない事だらけだよ」
　冗談でしょ、という顔をしたあおいに、修は意味ありげに囁きます。
「例えば、目の前の女性（ひと）のこと、とかね」
　ふふ、と笑って修は言うのでした。
「これからも宜しくね」
「……うん」

　曲が「蛍の光」に変わり、パーティ終了の放送が流れます。
　ラッセルは自然と笑顔になっていました。
「女装で踊る羽目になるとは思わなかったけど……やっぱり寝子高好きだな。任せたぞ、後輩！」
　寂しさではなく、誇らしい思いで満たされるのでした。

　月詠も筆を止めました。
「絵は後日仕上げて学校に寄贈しよう。あわよくば卒業式展覧会にお出ししたいものだ」
　そうして改めて会場を見渡すと、さっきまでは見えていなかったいろいろな風景が見える気がするのでした。

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