【期末テスト】赤点？留年？？春雷、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？留年？？春雷、四日間の死線＜物語編＞

　魚塚源三は自分の教室に飛び込んで、息を吐いた。
　先程殴られ、ほんの少しキレた唇の端を手の甲で拭う。喧嘩に巻き込まれ遅刻確定だったが、停電の影響でテスト開始時間が繰り下がったらしい。
（なんとか間に合ったぜ、助かった）
　とは言え、停電の影響は大きく、暖房も機能していないため、教室内は冷え冷えとしていた。
「くそ、寒さで手が」
「では、テスト、はじめ」
　教師の声で合図が行われ、源三も早速取り掛かった。
（手がかじかんで、震えるぜ。お、これは）
　一問目はつい昨日、勉強をした箇所だった。選択問題である。
（幸先良すぎだろ。これは、②だ！）
　円で囲おうとした時である。

ゴロゴロピシャ―！

（うお！？）
　一際大きな音と共に雷が近くに落ちたかのような音が。
　女子の一部から小さく悲鳴が上がった。
「静かに。心配しなくて良いから、集中しなさい」
　教師もなんと声をかければ良いのか迷っている様子だ。
（つっても気が散るなんてもんじゃねえよなぁ。あん？）
　見ると、選択問題の③に丸がついていた。
（おいおい、雷のやろうめ）
　少し慌てて消しゴムを取ろうとして、肘で消しゴムを床へ落としてしまった。
（ま、まずい。このままだと③が正解として提出になっちまう）
　それはさすがに許されない。
（こういう時は確か自分で行くのはまじいよな）
「……先生」
　振り返る教員。
「消しゴム落としました」
「拾うから待ちなさい」
（よ、よし。正解だな）
　教員が消しゴムを拾ってくれる。
（これで……ふぁ）
「次は気をつけてな」
「ぶあっくしょーい！！！」
　寒さからか、盛大なくしゃみをしてしまい、消しゴムを机においた教員に思いっきりぶっかけてしまったのだ。
「あ……や、その。すんません」
　理不尽に怒るわけにもいかず、教員はハンカチを取り出してから見回りに戻っていった。
　しかしくしゃみは止まらず、
「ふあ…ぶあっくしょ！　はくしゅっ」
　そして、鼻のムズムズが最高潮に。
「ぶあっくしょーい、ちくしょーめっ！！」

　ゴロゴロぴしゃー！！

　何故か教室内に雷が落ち、源三の体が光に包まれた。
「うおおおおっ」
　衝撃的だった。びりびりとそこまで強くない静電気のような感覚にに包まれたかと思うと、すぐにそれは収まった。
「……魚塚」
　気付けば何事もなかったかのような教室内で教員がジト目でこちらを見ていた。
「静かにしなさい」
「……すんません」
　謎の感覚に不思議がっていると、答案用紙の端っこがほんの少し焦げ付いていた。
　夢ではなく、実際に自分自身へ雷が落ちたのかもしれない。
（やべえ。危うく答案が黒焦げになるところになるところだったぜ）
　自分でも絶対に心配するところはそこではないと思ったが、とりあえず、試験を続けることにした。

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