【期末テスト】赤点？留年？？春雷、四日間の死線＜物語編＞｜リアクション

【期末テスト】赤点？留年？？春雷、四日間の死線＜物語編＞

　梓智依子は朝、目が覚めた瞬間から違和感があった。
今日は期末試験であり、昨日勉強していた痕跡も自室のテーブルに残っていた。隣で寝ている娘の楓を起こさないように着替えを済ませる。
「うーん」
今日は自由服装で登校なのでかつてダンサーをしていたところの服を着てみた。
「さすがにこれは……でも服装自由だし仕方ないわね」
納得させてその他の朝の準備を済ませる。
登校時間になり、玄関に移動すると、
「ママ―」
　お見送りに来てくれた楓が首を傾げる。
「ママ、踊りに行くの？　楓も行く！」
「今日はお勉強しに行くの。テストなのよ」
「そなの？　いつものせいふくは？」
　さらに不思議そうに聞いてくるが、自分でもよくはわかってない。
「良い子で待っててね」
　頭を撫でると、
「うん……。ママ、風邪引かないでね」
「ありがと、大丈夫よ。服装自由だから」
　そう言ってみて、思った。
（何を言ってるのかしら。私は）
　今日はやはり、変な日だった。

　数時間後、テストが終わり、ふうっと息を吐いた。肩をさする。
（こんな格好で試験を受けるなんて。……ちょっと寒かったけど）
すると、近くの席でたまたま目が合った男子生徒が恐る恐る声をかけてきた。
「大丈夫？　調子悪そうだけど」
「ええ、ちょっと寒かっただけ」
「あー確かに。帰る時は厚着した方が良いかもね」
　そんな彼はマラソンランナースタイルのタンクトップ短パンである。
（厚着はあなたもよね？）
　　自分の格好も他人のことを言えないが、教室内が仮装大会のようになっている。
　と、近くを通った二人組がハンカチを落とした。
「ねえ、ハンカチ」
　拾って声をかけると、振り返った二人は……。
「あ、梓さんありがとね」
　着崩した制服に全身タトゥー&ピンク色ドレスという格好だった。
（季節感が……分からなくなるわね。私含めて）
　カオスすぎる。しかし、これでいいのだ。
　何故なら、今日は自由服装だから。

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