勇気☆爆裂！　ネコジマンガー！！｜リアクション

勇気☆爆裂！　ネコジマンガー！！

【第二章：渾沌、そして読み解く言の葉……！】

　八十八旗信彦はこれまでの一部始終をギャラリーに混じって見守っていた。
「情報量が……情報量が多すぎる……っ！」
　そう、あまりのカオスに情報が許容量をオーバーしかけていた。
「ネコジマンガーは西洋甲冑姿で戦うと思ったら、海上でおしくらまんじゅう？　鎧をパージしたら中身は細マッチョの八頭身キジトラ猫？　そして何故トライアスロン競技？　しかも海底？　わけがわからないよ！」
　かしこい信彦も混乱しているくらいなので、たまたま通りがかった一般寝子島民達は情報のひとかけらも頭に入ってこないだろう。
「ネコ自慢が、秘密兵器……？　いやもうコレ自慢ですらないよね？？？　あー、うん、これは多分アレだね。寝子島の皆の心をひとつにすると、すんごいことができるサムシングじゃね？　でも、一般ピープルには現状すら理解からして難しそうだね。てか理解が追いついてない人が大半のような……ふむ、なるほど？　つまり何が起こっているのか『説明』が必要だよね……？」
　信彦は芝居がかった物言いで人混みの中から前に進み出ると、ろっこん『イケメンの特権』を発動させるべくかっこいいポーズ（主観）を砂浜の上で決めてみせた！
　この瞬間、信彦の言動は周囲のギャラリーへ謎の信頼感を与えるのだ。
「説明しよう！　寝子島のみんな！　『わけがわからないよ！』という顔をしているキミ達に向けて、この俺が現状を説明するのだ！」
「「ほうほう！」」
　ギャラリーは一斉に首を縦に振って納得した。
　信彦は言葉を継ぐ。
「今、この寝子島は未曽有の危機に見舞われている！　あの八頭身細マッチョ猫ロボは秘密兵器ネコジマンガー！　寝子島のみんなの想像力で動く夢のロボなんだ！」
「「な、なんだってーっ！？」」
「いいリアクションだね！　そういうの、もっとちょうだい！」
　信彦は手ごたえを感じ始めている！
　調子に乗った彼は、身振り手振りを大きくして仰々しく説明を続ける。
「つまり、不可能を可能にする無限の想像力が今、最も求められているんだ！　たとえば……そう！」
　信彦はスマホを取り出すと、おもむろに動画配信アプリを立ち上げた。
　すると、なんと、ネコジマンガーとBPBDとの海底トライアスロン競技の生中継が配信されているではないか！
「これが想像力のパワーだよ！　この配信は誰が行ってるって？　そんな理屈っぽい事を考えていると人生つまらなくなるぞ！　いいのか、キミ達はどう生きるのか！？　ボーッと生きてるとサンマさんに腹パンされるぞ！？　それでいいわけないだろ！！」
「「ふ、深い……！」」
　謎の説得力（ろっこん）の前に、信彦の荒唐無稽な話もギャラリーにとっては黄金よりも重い内容に思えるのだ。
（だから今の俺には……キミ達の脳内へ語りかけることだってできる……そう、ネコジマンガーの機能があればね？）
（（コイツ……私達の脳内へ直接コンタクトを……！？））
　もはや何でもありな状況に、ギャラリーはすっかり信彦の事を信じ切ってしまう。
「さあ！　今こそ、俺達の寝子島BIG LOVEをネコジマンガーへ届けるんだ！　そうすれば奇跡が起きて……なんやかんやで急展開が起きる！　つまり、想像力 is フリーダムだ！」
「「想像力 is フリーダム！！」」
　信彦の解説と演説のおかげで、寝子島民の心がひとつに重なった！
　途端、寝子島全体に地響きが轟く……！
　一体、何が起こるというのだろうか！？
「うん、正直にいうと、俺が一番、この状況を理解できてないんだけどね！！！！！」
「「おいおい！？」」
　信彦の突然のカミングアウトに、寝子島民達が総出でツッコミを入れた。
　またしても彼らの心がひとつに重なった時、次の瞬間、奇跡が２つ同時に発生した！

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