【第一章：邂逅、そして燃焼（もや）せ寝子島魂！】

　この日、寝子島はブーメランパンツビッグダディこと巨大化したマッチョな野々 ととおの襲撃によって未曾有のパニックに陥った！
　しかし、７人の選ばれし防衛隊員は、ネコジマ的権威を誇るロボ博士であるノノーコベル博士（※野々 ののこではない）の作った夢のスーパーロボット『ネコジマンガー』に乗り込み、寝子島の平和を守るべく出撃したのだった！

「さあ！　ネコジマンガーの初陣ですよぉ！　歌姫な僕の歌を聞きやがれです！」
　喜矢武 あいおは専用機である空飛ぶアイドルステージこと『AIO☆LIGHT』の上でマイクを握って叫んだ。
「この日のために、隊員のみんなと密かにSNSで募集した決戦テーマソングを歌うときです！　それでは、聞いて下さい！」
　喜屋武はいつの間にか出現したマイクスタンドをぶん回しながら、高らかにギャラリーへ向けて、こう告げた。
「これがネコジマンガーのテーマソングですよぉ！　名付けて！」

『デデーンと降臨！　ネコジマンガーのうた！』

　リズミカルなビートを刻むベース音と共に軽快なスネアがアクセントとしてリズム帯に合流すると、一気にイントロの熱量が爆上げしてゆく！
　そこへ昭和歌謡感満載のトランペットのメロディーが乗っかれば、おお！　これはまさに往年の熱血で勇者なスーパー合体ロボアニメの主題歌ではないか！
　このイントロと共に、なんと寝子高の校舎と校庭が轟音と共に左右に真っ二つに開かれ、プールの水は抜かれ、体育館の屋根から滑走路が天へ伸びる！

「♪デデデン！　デデデン！　デーデデデデ！　ネコジマンーガーッ！」

　喜屋武の歌声と共に、ネコビートル１号が校舎と校庭の裂け目から競りあがり、２号はプールの底から急上昇し、３号は体育館から伸びた滑走路を疾走！
　ただし、喜屋武の歌声はろっこんの効果でレジェンドアニメソング歌手の男性めいた熱く渋い歌声に変わっている！

「♪寝子島に危機が迫る時～今こそ～立ち上が～れ～！　ネコジマンガー！」

　そんな歌声と共に、空中へ発進していったネコビートルの３機には、桜井 ラッセル、水上 桜、そして響 タルトが搭乗中だ。
「いや、気が付いたら俺、パイロットになってた！？　つか俺は今、何を見せられてるんだ！？」
　黄色いヒヨコ型ロボの２号機に乗り込んでいる桜井は自分の役回りを嘆く言葉を吐くが、キジトラ猫型ロボの１号機に乗り込むタルトに励まされる。
「ラッセル君！　細かい事は今は置いておいて！　ブーメランパンツビッグダディを止めなきゃ！　いや正直にいうと、個人的にマッチョはあまり好みじゃないんだよね～。けど……」
「けど、なんです？」
　言葉尻からイライラが零れ落ちている水上の問いに、タルトは通信越しに萌えを爆発させた。
「桜さん、すごくない、このネコジマンガー！？　だって想像力で変形したり……合体？！　すごいね！　ビッグダディと、合体対決……！　身体と機体（カラダ）がぶつかり合う熱きパトス……！　うへへへ……！」
「おーい響ー？　その、薄い本っていうの？　そーいう展開をロボバトルで持ち込むのは、ちょっと……！」
　巨大おじと巨大ロボが織りなす異種族間BLムーブに桜井が敬遠のお気持ち表明をすると、すかさずタルトは反論した。
「いいじゃん！　おじとメカの熱い濃厚な絡み……！　新ジャンル開拓できそう！　なんだかとってもタイムリ―な話題じゃないかな？」
「俺はよく分からないんだけどな！　というか、喜屋武の歌声をバックにこれから合体するんだ、テンション上げていこうぜ！」
　桜井の言う通り、ネコジマンガーは３体くらいのメカが合体することで真の姿に変形合体するのだ！
「何でもいいです……！　はやくあの変態ブーメランパンツビッグダディを握り潰させてください！　というかなんで戦闘機モードに武装がないんですか！？　この戦闘機の設計者は馬鹿なんですか！？」
　水上は巨大化したととおへ殺意をみなぎらせ、早く合体させろと２人へせがむ。むしろ単騎で戦わせろと言わんばかりにブチ切れていた。
　そんなカオスな状況になっているとは知らない喜屋武は合体シーンを更に盛り上げようと、サビへ入るタイミングを見計らいながらギャラリーとのコール＆レスポンスで時間稼ぎしていた！
「ネコジー？」
「「マンガー！！」」
「コーレスありがとぅ！　というか、みんな～早く合体してくださいよぉ！　これ以上は間が持たないから～！」
「いやそれ、ファンサじゃなくて私たちの合体待ちなの？！　だったらすぐに合体よ、２人とも！」
　ブチ切れの水上が桜井とタルトへ合図を送る。
「お、おう！　いつでもいけるぜ！」
「『博士から今はまだ早いと言われたレバー』を引くときだよ！」
　３人の心がひとつに重なったとき、喜屋武の歌もＡサビに入って勇気が爆裂する！

「♪熱い血潮　滾るのは今～！　胸の～鼓動～！　君は聞いているの～か～！」
（コーラス：ネコは吸うもの！　クンカクンカ！　クンカクンカ！　スーハースハー！）
「ぶつけろ！　青春の～飛び散るパトス～！　少しくらい～ハミ出ても～零れるくらいがちょうどいい～！」
（コーラス：ケホケホ！　待って吸い過ぎて猫毛が喉に入って、ゲホゲホ、あ、毛玉出た！）
「♪お前もネコになるんだよぉぉぉぉー！！！！！（唐突なデスボイス）」
　なお、喜屋武の歌詞はアドリブなので内容は割とてんてこまいである！
　
「いや、さっきから何なのよこの歌はぁぁ！？　真面目にやりなさいよ！！」
「み、水上！？　怒りでキャラがブレてるぞ！？」
　桜井のツッコミなどもはや聞いちゃいない水上は、喜屋武の歌声に合わせて戦闘機を変形させてゆく！
「♪唸れ！　サンマさんソード！　チェンジ！　ネコデン合体ィ～！」
　空中で変形した３機のメカが、なんかいい感じに集まってゆくと、なんやかんやで合体完了！
「待ってよ、なんかフワッとしすぎじゃない！？　もっとこう、バリッてる感じを出そうよ！」
　合体シーンにタルトが異議を発したため、ネコジマンガーはリテイク合体を開始！
「いや視聴者側の配慮！！」
　桜井もツッコミが追い付かない！

　キジトラ猫型の１号機が左右にばっか～んと観音開きになると、ヒヨコ型メカが胴体部になって頭頂部からギャキーンッとメカ顔が出現！
　３号機は折り畳まれた機体を展開し、下半身となって各関節部の油圧ジャッキを次々と連結させてゆく！
　そして2号機と３号機がまずは上下で合体！
　続いて１号機が上から覆い被さるように２号機と合体すれば、両腕と猫ミミ兜へ変形！
　最後は２号機の黄色い翼が背部メカウィングとなって展開されると、ツヤツヤに輝く全身にバチバチと電撃を纏わせて勇者っぽいポージング！
　兜から降ろされたマスク越しの目元と胸元のヒヨコボディの両眼が同時に発光すれば、合体完了！
「「超寝子島愛合体ッ！！　完成ッ！　ネコジマンガー！！！」」
　見よ！　あれこそが、ノノコーベル博士がプラモで遊んでいたときに「プラモって巨大化したら合体ロボになるんじゃね？」というひらめきから爆誕した寝子島防衛巨大合体ロボだ！
　なんか前置きが長かったけど、いよいよバトルが始まるぞ！！
　その前にＣＭへ続く！

（ででーん！）
　※ここで搭乗者たちのアイキャッチイラストが流れます。心眼でご鑑賞ください。