【スキー＆スノボ合宿】銀色のキャンパスへ、描けシュプール！｜リアクション

【スキー＆スノボ合宿】銀色のキャンパスへ、描けシュプール！

　合宿が始まる少し前。
　桜井ラッセルは風の精晴月にスキー合宿のことを話していた。
　晴月は当然「行きたい！」と駄々をこねたが、これは学校行事。彼女を連れて行くことはままならない。

「ちゃんとお土産も買ってくるからさ。我慢してくれよ」
「むむぅ……」

　ちょっぴりむくれた晴月だったが、お土産にはアレがほしい！　と手を打つことにした。
　そうじゃないと、勝手についていくからねと脅しも加えて。

　そうしてやってきたスキー合宿。
　ラッセルはスキーの中級コースを選び、引率者の１人でもあり体育教師でもある高野有紀に教わりながら滑っていた。
　体育科の教師に教わろうとする生徒は多く、ラッセルもそのうちの１人に過ぎないが……それでも、滅多にないチャンスはこのままつかみ取りたい！

「お、いい感じじゃないか！」
「ううーん……」

　滑り終わったラッセルに向けて有紀が声をかけてくれた。
　彼女曰く、ラッセルの滑りは中級者にしてはなかなかいい筋をしているそうで、そのままの形で滑り続けてみるといいとアドバイスをする。
　しかしラッセルの中ではどうにもしっくりこない。そこで有紀にコツなどを聞いてみることに。

「先生、なんつーか、こう……スピードが出ねぇっつーか……爽快感がないっつーか……」
「速度ねぇ……。スピードを出しすぎて、止めきれなかったらどうするんだ？」
「うっ、それは……」
「事故に遭うよりは、遭わない滑り方。それでいいじゃないか！」

　生徒が事故に遭ってしまうよりは、事故に遭わないように滑らせるのが教師の役目。
　今はまだ中級者コースを滑っているのだから、速度を求めず、滑りやすい形を目指せばいいと有紀はアドバイスを付け加える。
　その言葉はラッセルにも、そして他の生徒達にも響いたようで、それぞれが自分達の滑り方を身につけていった。

「つ、かれたぁ～！」

　ぐい、と伸びをして午後の講習を終わらせたラッセル。
　あとは晴月へのお土産をどうするか考えていたのだが、ふと思い出したのが宝探し。
　今日と明日、ぎりぎりまで探せばなんとかなるかもしれないし、ちょっとした土産話にもなるかもと思いフロントでヒントを受け取る。

「えーっと……『宙を舞うオオワシの姿を探せ！』か。簡単そうだな！」

　意気揚々とヒント片手に宝探しを始めたラッセル。
　今日はもう夜も遅いため、写真を撮りながら次の日の合間合間に探そうと決意。
　これで晴月もきっと喜んでくれるだろう……なんて思って眠りについた次の日には、頭がこんがらがって答えまで導き出せず。

「謎解きは……やっぱり苦手だー！」

　せめてもの思い出に、あらゆる所の写真を撮ったラッセル。
　これが晴月への土産話になるはずだ！　と心の中で叫んで言い聞かせた。

　ちなみに。
　ラッセルは既にヒントに書かれているオオワシの姿を写真に収めているのだが、それに気づいたのは晴月からの指摘をもらってからだった。