【スキー＆スノボ合宿】銀色のキャンパスへ、描けシュプール！｜リアクション

【スキー＆スノボ合宿】銀色のキャンパスへ、描けシュプール！

　２日目。
　世間は既に受験シーズン真っ只中で、寝子島高校の面々の中には受験への不安を持つ者もいる。
　けれど、そんなことはスパッと忘れて楽しむことが今回の合宿の目的である。

　女子バスケ部の３人――浅見柚乃、霧生愛、羽生碧南の３人は午前の講習を終え、午後の自由時間を目一杯使って上級コースを滑っていた。
　スキーの腕は上級レベルな３人。人の流れを邪魔しないように上手く滑り、適度な休憩を入れてはまた滑り、を繰り返していた。
　バスケ部ともなれば体力には自信があるため、日が暮れるギリギリまで滑り続けていたが……時間というのはあっという間に過ぎてしまうもので。

「２人共、次で終わりにしよっか。そろそろ夜になっちゃうし」
「わー、もうそんな時間……」
「楽しすぎると時間が過ぎるのも早いなぁ……」

　最後の一滑りにとリフトに乗り込んだ３人。
　このリフトは２人ずつしか乗ることが出来ないため、碧南と柚乃が一緒にリフトに乗り、その後ろのリフトに愛が乗ることになった。

（……正直、これはこれで助かったかな）

　ぼうっと、動くリフトの上で物思いに耽る愛。
　色々あって、柚乃からの敵意を向けられることはなくなったが、それでもまだ無意識に向けられる事が多い。
　今回のように２人きりになってしまっていたら、どうなっていたか。想像に難くない。

　柚乃の執着心は、愛から見ても恐ろしいものだとさえ思う。
　碧南の想い人に対する嫉妬心は、下手に転べば取り返しの付かない事態にまで発展しかねない。
　もし、そんなことになってしまったら？

「……いやいや、なんで私が心配してるんだ……」

　小さく呟いて首を振った愛。
　あんな人、勝手に自滅すればいいのに……とは考えているが、どうにも、放置できないというのが正直なところ。
　視線を目の前を進む碧南と柚乃に移していく。

　ゆっくりとコースまで３人を運んでいくリフト。
　しかし、意図せずしてそれは訪れる。

「わっ！？」

　ガクン、と大きな衝撃がリフトに襲いかかったかと思えば、動きを止める。
　先程まで問題なく動いていたはずのリフトは急停止し、３人を、そして乗っていた他の客を宙ぶらりんにしてしまう。
　その後アナウンスにて動くまでしばらく待つように連絡が入ったため、客は全員宙ぶらりんのままに待機させられた。