【スキー＆スノボ合宿】銀色のキャンパスへ、描けシュプール！｜リアクション

【スキー＆スノボ合宿】銀色のキャンパスへ、描けシュプール！

「わ、わ、わー！？」
「大丈夫ー？」

　滑ってる最中でずてんと転んだ月原想花。一緒に滑っていた川上紗櫻都が手を差し伸べ、彼女を立たせてあげる。

　運動神経皆無な想花にとってこのスキー合宿はただただ面倒な行事の１つ。
　それでも合宿に参加してみようと考えたのは、小説のネタとして体験してみたかったのもあるし、紗櫻都と共にスキー合宿を満喫してみたかったからだ。
　寝子島でも見ることが少ない白銀の世界。まるで異世界に来たかのような興奮は、想花の創作意欲も掻き立てられた。

　１日も練習すれば、その上達っぷりに先生も驚くほど。
　初級コースと言えどこんなに上達する人は稀に見るぐらいで、ここぞとばかりに先生も褒めてくれた。

　そうして講習が終わり、自由時間となった。
　まだ眠るまでには少し時間があるし、宝探しのタイムリミットもまだまだ残されている。
　何をしようかと悩んでいた想花に対し、紗櫻都が宝探しのヒントを持ってきてくれたのでそれを解いてみることに。

「ええと……三ツ星の真ん中から西へ６歩、北へ８歩、東へ９歩進んだところで見上げてみて。これ、どういう意味だろう」
「まずは三ツ星から探すところからだよね。なんだろう、三ツ星……」

　あれやこれやと２人で意見交換をして、三ツ星が何かを探す。
　考えつく限りの『三ツ星』を紗櫻都が提案をして、その中からスキー場に関連したものを想花が抽出していく。
　三ツ星レストラン、三ツ星ホテルなどなど色々なものが思い浮かんだが、ふと、パンフレットを見ていた想花は気づいた。

「あれ……良く見たらロビーの椅子の並び……」

　パッと見た時には星型になっているな、と思っていたが、３つの星が三角を結ぶように並んでおり、これこそが『三ツ星の真ん中』ではないか？　と思い浮かぶ。
　それなら、善は急げ。紗櫻都が想花の手を引っ張ってホテルのロビーへと向かい、想花と一緒に早速ヒント通りの歩数を歩いてみた。

「まず西に６歩！　だよね？」
「うん。そして北へ８歩……あ、壁」
「じゃあここから東に９歩！　……ここを見上げてみるとー……？」

　２人が揃って視線を天井に向けてみると……『向こう見て』という一文とともに矢印が記されており、それに合わせて視線を移動させてみれば植え込みが見つかった。
　植え込みまで近づいて探してみると小さなチェック柄の袋と犬耳ヘアバンドが見つかる。
　どうやら宝探しは成功のようで、丁度いいタイミングで通りがかった先生が写真を撮ってくれたのだった。