アソビの森で遊んじゃおう｜リアクション

アソビの森で遊んじゃおう

　その日、風はとても冷たかった。
　月原想花は短く切った髪をなびかせて、街の中をてくてく歩く。
　帽子を被ればよかったなんて考えたのも数秒のことで、さっさとやることをやってしまおうと早歩きだった。

　けれど途中で、川上紗櫻都に出会った。
　突然の出会いに少しだけ驚いた想花。少しだけ彼女と共にその辺りを歩いてみようと、一緒に歩き回ってみた。
　色々な話題が２人の間を飛び交って、尽きることのない楽しさに想花は思わず笑みを浮かべる。

「ねえ、あそこに行ってみない？」

　ふと、紗櫻都がアソビの森の会場を指差して、隣を歩く想花に問いかける。
　その問いかけに対して想花は「うん」と答えた。本当は本を買いに行く予定だったが、彼女にそう言われては仕方がない。

　アソビの森には色々なおもちゃやゲームが並んでいる。
　紗櫻都があれも見たいこれも見たいとあちこち歩けば、想花もそれについていって、２人で遊べそうなものであれば少し遊んでみたりして。
　特に、エレメンツ＆ドレイクスは初めてプレイする紗櫻都が強かったのもあって想花も驚いていた。

　そうしていくつか触っていく中で、ふと、紗櫻都が目についたゲームがあった。

「ねこるふ神話TRPG？」

　はて？　と首を傾げて紗櫻都は説明文章を読み、ふんふんとうなずく。
　その様子に彼女が興味を持ったのを想花は見逃さない。

　――宇宙的愛嬌で人々を狂気へ誘う、ねこるふ神話をモチーフとしたテーブルトークRPG。
　――猫とは宇宙的に可愛い、神にも等しいいきもの。それらと出会い可愛がるのだ。

「そういえば、紗櫻都さんは知らないんだっけ」
「うん、知らない。……やってみたいなあ」
「それじゃあ、イチから説明しないとね」

　ねこるふ神話TRPGに興味を持った紗櫻都は想花の助力を得ながら、ゲームマスターである猫乃宮ヤマトと共にゲームを展開していく。
　時々ヤマトの飼い猫のナナが「にゃあん」と鳴いて、ねこるふ神話TRPGの魅力ともなる『猫の可愛さ』を表現してくれたので、ますますのめり込んだ。

「じゃ、じゃあ、こう、抱きしめる！」
「じゃあ僕は……撫でようかな」
「なるほど。では２人の行動結果になりますが、猫はなんと、ゴロゴロ音を鳴らして２人を気に入ったようです」

　ゲームマスターのヤマトから貰った結果に喜びの様子を見せた紗櫻都と想花。
　そんな２人の様子に、ナナも嬉しそうに鳴いてくれた。

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