わんわん！　雪中お年玉＆お年賀争奪戦！｜リアクション

わんわん！　雪中お年玉＆お年賀争奪戦！

☆先生も一緒に！

　鷲尾先生にアロマオイルの説明をしていた柚春は、遠くにこちらへ向かってくるウォルター・Bの姿を見つけてぎょっとしました。
（ワットが会場に……まさか参加するの？　水着で？　しかも結構な露出のって聞いたよ？）
「ちょっと失礼します」
　鷲尾先生にそう言うが早いか慌てて走り出しました。
（……止めなくちゃ！）

「稲積？」
　ウォルターは走ってきた柚春に笑みを向けます。
「早まらないでワット！　もしかしたらこの冬休み、家に籠もりがちで筋トレしてたかもしれないけど、見せるなら僕だけにして！」
「……何のことかなぁ？　風紀委員会の見回りで来たんだけど」　
　必死でまくしたてる柚春に、ウォルターはぽかんとした様子で言いました。
「……風紀委員の見回り？　あ、ああ。そういうことだったんだね。僕はてっきり……」
　ほっと胸をなでおろす柚春。
　しかし今度は別な問題に気づきます。
「でも、ああいう非公式なイベントは風紀委員に出てこられたら終わっちゃうんじゃない？　飛び出すタイミングを見計らってあげるのはどうかな、ワットの正義感が許すなら、だけど」
「ああ、そういうことか……先生たちの協力もあるみたいだし、僕としては止める気はないよ」
　そう言ったウォルターの視線の先を見れば、急いで生徒の下へと向かう早川珪先生の姿がありました。

「珪先生、こっちです」
　現れた珪先生に、綾花は小さく手を振りました。
「綾辻さん、本当に出るのかい？」
「はい、お年玉がもらえたら引っ越し代にしたいです。今日はよろしくお願いします」
　ビキニの水着を着てにっこり微笑む綾花に、珪は一瞬困ったような目を向けましたが。
　覚悟を決めた様子でコートのボタンを外し始めたのでした。
「寒くないのかい？」
「寒さもですけど、ぽろりしないか心配です」
　綾花のたわわな胸から目をそらし、服を脱ぐと珪は水着姿になったのでした。
「犬耳と尻尾もどうぞ。あ、イチャイチャは禁止なので人目のあるところでは珪先生って呼びますね」　

「えっ、早川先生出るんだ……」　
　二人の様子を見て驚いた柚春。
　けれど、少し考えてから言いました。
「なら僕らは、早く皆が無茶をしないで温まりたくなるような、羨ましいことをして待ってよう」
「……何をするつもりだい？」
「かまくらでお汁粉食べてまったりして、たまに応急処置をして……それでこれ以上は危険だなってとこで止めよう。一応、水着は着用しているわけだし」
「いいね」
　ウォルターは頷き、柚春は希望者にオイルを渡す作業に向かったのでした。

「寒さに効くオイルがもらえるみたいだから、塗っておこう」
　珪先生の勧めで柚春からオイルを受け取った綾花。
「全身によく塗り込んでね」
　そう言われて塗り始めます。
「あっ、背中は届きませんよね、先生、塗りますよ」
　ドキドキしながら珪の背中に手を伸ばします。
「……先生、私にも塗ってくれますか？」
「……ああ」
　人目を避けた物陰で、綾花の背中に珪の暖かい手が触れたのでした。

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