インターネットの向こう側　―拡散希望―｜リアクション

インターネットの向こう側　―拡散希望―

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　往来には多くの人が行き交っている。
　その上空には白いワンピース姿の少女が、緑色の長い髪をなびかせて空を飛んでいた。
「あっ。ラッセル、あれなに？」
　カメラを手にした少女――晴月が興味津々に聞いてくる。
　それに応えるように、近くでユキフクロウが鳴いた。
　ラッセルの『ろっこん』は鳥に変身する能力だ。今はユキフクロウになって晴月に付き添っている。
　鳴き声は人間の耳には雑音としか聞こえない。しかし、その意思は晴月に伝わっていた。
　ラッセルは傍でサポートし、晴月に寝子島の好きなところの写真を頼んでいた。
『シャッターわかるか、そう。よーくレンズを構えて』
「ラッセル、こう？」
『うまいうまい！』
　ラッセルの説明に、晴月は夢見心地の面持ちで写真を撮っていく。
「ねえねえ、あそこも撮りたい」
『どこだ？』
　晴月が指し示した場所は見覚えのある公園。
　モノリスみたいなモニュメントの乗った台座がラッセルの記憶を刺激する。
「ラッセルと初めてデートした時、最後に訪れた場所。あそこを紹介したい」
『え……マジで』
「マジで♪」
　ラッセルが初めて梟に変身して夜間飛行した日、響き合うようにして出会ったのが晴月だった。
　それから再会を果たして、二人で街を回って楽しんだ。
　あの日の出来事は晴月にとっても思い出深いのだろう。

　元の姿に戻ったラッセルは絵筆を握りしめる。
「任せろ！　絵は得意だ」
　ラッセルは絵の上手さを活かし、写真をポップな広告風に仕上げていく。
　写真に矢印で位置を示し、寝子島のどこにその場所があるのか書き上げる。

『寝子島は猫もいっぱい猫の島！　観光大使のサンマさん＆マンボウくんもまってるよ』

・『ハローニャック』のメリーゴーランドがおすすめ

・星ケ丘で乗馬体験
　丁寧な指導で安心。馬と楽しい時間をすごせるよ。

・ホッとしたい時は旧市街へ。グルメも楽しめる商店街。

「おすすめ！　どこにも行かない乗り物なんだよね？」
　晴月が嬉しそうに確認した写真には、野々ののこがその日もハローニャックを訪れてメリーゴーランドに乗っていた。
　まさか、その上空にラッセルと晴月がいたとは露知らず。
　二人はその後も様々な場所を紹介していった。

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