もふもふもふもふもふもふもふも｜リアクション

もふもふもふもふもふもふもふも

◆冬の動物園

　冬のある日。
　綾辻綾花は早川珪先生と待ち合わせていた。今日は動物園に行く予定だ。

（２人でお出かけだからデートな気分です）

　髪の乱れを直していると珪先生がやってきた。軽く挨拶を交わすと２人は動物園を目指して歩く。

「少しずつクリスマスの飾り付けが増えてきましたね」
「そうだね」

　クリスマスはまだまだ先だけれど、なんだかわくわくしてしまう。飾りつけを横目に歩いていくと動物園に到着した。混雑するほど人は多くないが、なかなか賑わっていた。

（いつもは家族連れが多いけど今日はカップルの方が多いみたい？　私も珪先生と恋人同士に見えるかな？）

　時期による違いだろうか。綾花は珪先生とはぐれないように手を繋いで園内を回る。道順に従って進んでいくと、ふれあいコーナーが見えてきた。ここではウサギなどの餌やりができるらしい。さっそく餌を持って近づくと、ウサギたちは小さな口でかじり始める。

「かわいいですね」

　綾花ははむはむ食べる姿を眺めながら撫でる。抱きかかえてみても暴れることもなく、綾花の腕に収まっている。

「綾辻さんはウサギが好きなのかい？」
「猫好きですけど、動物は全般的に好きです。珪先生はどの動物が好きですか？」
「僕も全般好きかな」

　触れ合いを十分に楽しんだ２人は他のエリアも巡ろうと歩き出す。草食動物・鳥類エリアでは生まれたばかりの動物たちの姿が見えた。

「鳥の雛とか動物の赤ちゃんとかモフモフ率が高いですよね」

　近づいてみると、そのモフモフ具合がさらに感じられる。

「小っちゃくて可愛いですね」
「そうだね」

　残念ながら触れることはできないが、間近でモフモフを見ることはできた。その後もサル山・水辺エリアや猛獣エリアなどを巡る。珪先生も動物との出会いを楽しんでいるようだった。綾花はその表情をみて、嬉しそうにほほ笑んだ。

「ん？　綾辻さんどうかした？」
「先生が可愛いなと思って」

　その微笑みに珪先生は少し照れているようだった。
　そんな彼の表情も素敵だったから、綾花は近くにいた飼育員にお願いして写真を撮ってもらった。もちろん動物たちも一緒だ。

「写真ありがとうございました」
「どういたしまして。このあとも楽しんでください」

　そう言ってエリアを離れた。

（飼育員さん、私たちのこと恋人同士って思ったかな）

　もし尋ねられたらうれしくて否定するのを忘れていたかもしれない。珪先生と繋いでいた手を少しだけ強く握った。

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