waに染まる猪口齢糖と伝統技術の饗宴 in サロネコ1371｜リアクション

waに染まる猪口齢糖と伝統技術の饗宴 in サロネコ1371

＊変わらぬ二人の、おしゃれな夜

「まゆ先生、今日は一段と美しく愛らしいお姿で……！　貴女はまさに俺にとっての『至上の妖精』！　先生、どうか俺と」
「褒めてくれるのは嬉しいけれど結婚はしないわよっ！」
「どいひー！？」
　冴木竜司は相も変わらず恩師の女性、相原まゆに愛を囁き撃沈していた。まぁ、バラの花束（赤のバラ１１本）は受け取ってもらえたが。
　そんな彼だが、今回はクールなスーツ姿である。勿論もまゆも場にあったスーツを纏っている。今回は２人でディナーに来ていたのである。
（まぁ、こういう関係性が俺達らしいと言えばらしい……のかな？）
　内心でちょっとしょんもりした竜司だったが、気を取り直す。
「まぁ、でも……。まゆ先生から誘われて、本当に嬉しかったんです。だから今日は楽しみましょう。さあ、我が妖精姫。お手を拝借」
　僭越ながらエスコートさせていただきます、と手を差し伸べれば、まゆは少し照れくさそうに微笑む。
「ふふ、お願いね」
　そして、まゆはそっと竜司の手を取った。

　レストランに入ると、窓から美しい光景が見えた。夜景に、ライトアップされた紅葉。その美しさに息をのみつつも、２人は案内された席へつく。
「今回は『サロネコ』とコラボしているメニューもあるのね」
「じゃあ、それにしましょうか」
　二人で話し合い、『サロネコ』とコラボしたコース料理をチョイス。運ばれてきた食前酒とジンジャーエールをそれぞれ持ち、乾杯をした。
「そういえば、大学生活はどう？　もう慣れたかしら？」
「えぇ、勿論！　教育学部でもしっかりやってますっ」
　まゆから促され、竜司は近況を話す。寝子高を卒業してから会えなかった分を埋めるように楽しみたいからか、積極的に話せば、まゆは相変わらず優しい笑顔で頷いてくれる。
　竜司は自分ばかりが話していてはいけない、と「愚痴があれば聞きますよ」とまゆにいうも、彼女は「ほどほどに発散できているから、大丈夫」とやんわり断りつつも「竜司くん、気遣ってくれてありがとうね」と礼を述べる顔はやはり大人に魅力があって頬が緩む。
「ん？　このソースにチョコレートが使わているみたいですね」
「また違った味わいになるのね……。美味しいわ」
　と、料理の感想を言い合って食べていると、楽しさを共有しているみたいで嬉しくなり、竜司もまゆもこの時間を大いに楽しんだ。

「お腹もほどほどに満たされたし、デザートも美味しかったし、何より楽しかったし。竜司くんを誘って正解だったわね！　竜司くんはどうだった？」
「はいっ、思い切りまゆ先生との時間を堪能出来てエネルギーチャージできました、なんてね？」
　食事を終え、駅まで歩く二人。
　竜司は、駅に着く前。「今日は、本当にありがとうございます」と、まゆの手の甲に口づけする。
「やっぱり俺は恩師で素敵な女性なまゆ先生の事が大好きです。これからも末永くよろしくお願いします！」
　まゆは、その言葉に顔を少し朱に染めて
「その言葉はうれしいけれど、末永くよろしくはしないわよ」
「どいひぃ～～～！！」
　やはり、いつものオチになってしまう竜司なのだった。

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