this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
雨空に想いが重なる
<< もどる
1
2
3
4
ホームルームが終わって放課後となった。
三夜 虹司
は教室を飛び出した勢いで正門を駆け抜けた。脇目を振らず、自宅へ直行する。
自室に駆け込むと用意したリュックサックに機材を詰め込み、もがくようにして背負った。エレキギターが入ったケースを右肩に掛けた。左手はミニアンプを引っ掴み、着替えを惜しんで制服姿のまま走り出す。
黒雲に急かされるようにして神社の境内に踏み込んだ。事前の許可を得ていることもあって雨を凌げる社殿で演奏の用意を始めた。
「……これでいいか」
エレキギターに自作したディストーションを繋げた。ミニアンプの出力調整や試し弾きをする時間はなかった。
境内の石畳に黒い染みが広がっていく。雨が降り始めた。虹司はリュックサックから折り畳みの傘を取り出して広げた。
「ひまりさん……」
切ない呟きを口にすると鳥居に向かって走り出した。
八葉 ひまり
の足取りは重い。星ヶ丘に向かう道を俯き加減で歩いていた。
――姉妹には叶えたい夢がある。私自身、叶って欲しいと思う。
思考を中断して灰色の目を上げる。道の先にあるパイ専門店
『Huit Feuilles』
に想いを寄せて、一層、顔を曇らせる。
――私が父さんの店を継げばいいのか。わからない。私の夢はどこにあるのだろう。
真面目な性格が災いして緩やかに自身を追い詰めていく。
その時、雨が降ってきた。ひまりは苦笑いで歩いた。家までは遠く、走って帰ってもずぶ濡れは確定していた。
――頭を冷やすのに、ちょうどいいか。
軽く頭を振った。
「あの、ひまりさん」
横手からの声に顔が反応した。鳥居の下で傘を差していた虹司と目が合う。
「三夜……」
「雨宿り、していきませんか?」
ひまりは少し頭を下げて近づいた。差し出された傘をすんなりと受け入れた。虹司が案内する態で境内の中をゆく。
目の前に社殿が現れる。エレキギターと関連する機材を見て、ひまりは目を見開いた。隣にいる虹司に言った。
「ギター……弾けるのか」
「下手だけど」
弱々しい笑みで返した。
雨の当たらない場所に入ると虹司はひまりと向き合った。微かに震える手で封筒を差し出す。
「これは」
「歌詞が、あるから」
受け取ったひまりに背を向けて虹司は愛用のエレキギターを手にした。表情を引き締めた。眼鏡の奥の怯えたような目は一変して漲る想いを湛える。
ひまりは封筒の中に収められていたカードを取り出す。歌詞の一端に触れた直後、抑え切れない動揺で身体が震えた。真剣な目を虹司に向ける。
「あの、今日は機材の調子が悪いみたいで、アンプラグドにします」
「アンプラグド?」
「あ、電気を使わない演奏で……聞いてください、『sunny flower』」
タイトルを口にした虹司は全身の力を抜いた。自身のタイミングに合わせて静かに歌い始める。
「悲しみの底 僕に現れた君は
お日様のようでした まるでsunny flower
降り続く雨が たとえ止まずとも
微笑んでおくれよ keep on be smile
ずっと咲いていてくれ sunny flower
痛みや涙さえも糧に 進み続けられたのは
君が ずっとそこで 咲いていたから」
虹司は別人となって歌う。sunny flowerを口にする度にひまりに熱い視線を送った。
最後はエレキギターを真上に掲げるようにして曲を終えた。
「どう、かな」
「その、言葉では、どう言えばいいか……だから」
ひまりは飛び出した。腰が引ける虹司の手を両手で包み込む。雨という水分が身体に付着した状態で他者へ直に触れて『雨恋』のろっこんを発動させた。
虹司は真顔となった。心に届く声に耳を傾ける。
とてもいい曲だな……心が温かくなった。
私をそんな風に思ってくれる人がいるなんて、想像したことがなかった。
正直に言うが私は、誰かを好きになる気持ちがよくわからない。
だから、お前になんて返せばいいのか、今はわからないんだ。
だけど、これだけは言いたい。この曲を、また聞かせてくれるか?
想いの全てをひまりは虹司に伝えた。数秒と待たず、相手の感情が流れ込む。
歌っている時も、君の事しか考えていなかった。
後悔してもフラれてもいいと思えた。ロックが俺の丸まった背中を強く押してくれた。
心の声を自らの意志で断ち切る。全ての感情を目に込めてひまりを見つめた。
「ひまりさん。君がいたから、今の俺がいるんです。ずっと、好きでした」
「……三夜、ありがとう」
ひまりは表情を歪めた。歌詞のように微笑もうとして大粒の涙を零す。
虹司も泣いていた。
雨が降りしきる中、二人は歪な笑顔で泣きじゃくった。
どれくらいの時間が経ったのか。雨が小降りになった。二人の頬の涙は乾いて気恥ずかしそうな笑みに変わる。
「ひまりさん、もう一度、歌ってもいいかな」
「聞かせて」
「わかった、え」
「どうかした?」
ひまりは覗き込むような顔で聞き返した。虹司は言葉よりも先にエレキギターを掻き鳴らす。
「音が戻った」
「そうなんだ」
ひまりはどこかわくわくした顔で聞く体勢に入った。
虹司は躍動した。得意の速弾きとピッキングを混ぜて跳んだ。ひまりは笑顔で拍手を送る。
「聞いてくれ! 『sunny flower』」
たった一人の観客の前で虹司は全力を出した。ひまりは大輪のひまわりのような笑顔を咲かせて熱い声援を送り続けた。
二人の運命の歯車はかっちりと嵌り、ゆっくりながらも力強く動き始めた。
<< もどる
1
2
3
4
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから!
雨の中の幸運と不幸が二人の時間を豊かにしてくれました。
日頃は見えない部分が鮮明になって、ゆくゆくは強い絆で結ばれるのでしょう。
執筆中の私も温かい気分になりました。お福分けをされた状態で心がポカポカです。
仲が進展した二人はどのような未来を迎えるのでしょう。今後のシナリオでの行動に目が離せません!
それでは改めまして、ご参加、誠にありがとうございました。
これからも心が温まるようなシナリオを出していきたいと思います。
気分次第で真逆の内容になるかもしれませんが、今後もよろしくお願い致します。
↑ページトップに戻る
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
雨空に想いが重なる
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
NPC交流
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年12月14日
参加申し込みの期限
2022年12月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年12月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!