クラフトチャレンジ☆ネコジマ｜リアクション

クラフトチャレンジ☆ネコジマ

「ＮＹＡＧＯブロックはいいよねえ」
　佐藤英二はしみじみ、つぶやきました。
　ＮＹＡＧＯブロックが子どものためだけのおもちゃだなんて、とんでもない。ＮＹＡＧＯにはメーカーから認定されるプロビルダー制度があったり、熟練しだいでどんな複雑なものも巨大なものも作れたりして、そこには大人も子どもも、そして国や人種も関係ない楽しさ奥深さがあるのです。
　ＮＹＡＧＯジオラマづくりコーナーには、子どもたちだけでなく、英二と同じくらいの中高生やもう少し年上の大学生、保護者のおとうさんおかあさんたちにまぎれて、スーツ姿のおじさんなんかもいたりします。
　英二の趣味のひとつは、プラモデル作り。ものを作るのをもともと好きだし、ブロックでなにかすごいものを組み立ててみたいという欲求は、なんとなく心のどこかにあったような気がします。
「さて、それじゃあ、何をつくろうかな」
　カゴを取り、ブロック置き場からてきとうにひょいひょいと入れていきます。今はまだ作るものの全体像が見えないので、なるべくいろんな種類を幅広く。
　いくつかのブロックをぱちん、ぱちりとはめてみるものの、あまりピンときません。
「そうだ。図面を書いてみよう」
　紙を取り出し、さらさらさらとペンを走らせます。イメージが湧いてきました。そうだ、ここは渋く、お城はどうだろう？　日本三大名城、名古屋城や大阪城みたいな質実剛健なお城もいいし、あるいは姫路城とか松本城のような、美しいお城もいいな。
「わー、すっげえ！　にいちゃん、絵ーうまいね！」
「え？　あ、ありがとう」
　子どもたちが寄ってきて、英二の図面を無遠慮に覗き込みます。保護者のママさんたちが、ウチの子がごめんなさいねー？　と目で伝えてきて、英二は恐縮して会釈を返しました。
「ねえねえ、これつくんの？　ＮＹＡＧＯで！？」
「すごーい！　みたーい」
「う、うん。頑張って作ってみるよ」
　純真な瞳に宿る期待へ応えるべく、ブロックの組み立てを始めます。
　まずは石垣部分から。ぱち、ぱちと凹凸をはめこんでいくだけで、妙な充実感があります。
　微妙に色の違う灰色ブロックを集めて石垣を作り、白いブロックで本体を組み立てます。図面があるおかげで、作りやすさが違いました。スムーズにぱちぱち、ぱちん。稼働パーツで天守閣の絶妙な曲線を再現して、
「おお……思ったより良くできた」
「すげー！」
「おにいちゃん、すごいねー！」
　大好評です。英二は照れて、いやいや……と頭をかきました。
　少し時間が余ったので、もう少し、何か追加することにします。
「うん。ここは、ゴアラかな」
　日本が誇る大怪獣が、大天守を襲う！　みたいなシーンを思い描いて、ぱちぱちぱち。特撮好きで幾度も見たゴアラなので、図面に頼らずともあっさり組むことができました。
「できた！　思いのほか、うまくいったなあ。写真に撮っておこうっと」
　子どもたちの歓声も嬉しいけれど、本当に喜んでもらいたいのは、アホ毛のあの子。
「最近は野々さんもゴアラ好きになってくれたみたいだし。喜んでくれるかな」
　あけっぴろげな笑顔がさらにぶわっと、花咲くような輝きを見せるさまを想像して、英二も思わずにっこり、笑顔を浮かべました。

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あとがき

担当マスター：山中にいな
ファンレターはマスターページから！

参加してくださった皆様、ありがとうございました。
今回も遅くなってしまい申し訳ありません。山中にいなです。

クラフト系のワークショップ、変わらず人気みたいです。
普段はあまり触れないものに触れたり、作ったりするのは新鮮で楽しいですよね。
私もＮＹＡＧＯをひとつ買って、組み立ててみました。思ったより難しかったです。

それではまた次のシナリオでお会いできることを、楽しみにしています！

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