この道の続く限り｜リアクション

この道の続く限り

　月原想花はゆっくりと目を開けた。
　枕元のスマホに手を伸ばす。確認すると８時１０分だった。
「……」
　目をこする。もう一度見ても、8時10分だ。
「！！！」
　胸の奥に冷たいものが湧き上がる感覚。動悸が酷い。
　眠気が一瞬で蒸発した。
「ひぃいいいっ」
　寝起きとは思えない声が喉の奥から出た。
　大急ぎで制服に着替える。
　恐らく、カバンの中身は昨日のままだが、構ってられない。
「くぅっ」
　猫鳴館を飛び出し、裏山へ飛び込む。
「今日も遅刻だしゆっくり行こうぜー」
　などと先輩に声をかけられたが、秒で右から左に聞き流した。
　直線距離だけなら走れば十分とかからない。しかし鬱蒼とした森の中の獣道を走り下りるのは中々大変だろう。
「はぁ、はぁ」
　予想通り獣道は悪条件で悪戦苦闘。
「ひぃああああっ、止まらないぃっ」
　制御を失いそうだ。
「わっぶぶっ」
　木の枝と葉が顔にかかったので、体勢を低くすると、思いっ切り転びそうになってしまった。
「うあっ！　お、ととととっ」　
　一瞬足が浮いた。慌てて手を伸ばすと、両手で太めの木の枝を掴むことに成功した。
「あっ！？」
　謎の突風に背中を押され、そのまま一回転。
「ああああっ」
　手を勢いよく離してしまい、そのまま足で着地し、森を抜けた。
「い、生きてるーっ」
　危機を何度か潜り抜け、なんとか道路に出る。
　足がガクガク、体力が尽きてヘロヘロだが、それでも最後の体力を振り絞り……教室へ、in。
　机へつくと脱力した。

　もちろん、授業は居眠り……。

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