この道の続く限り｜リアクション

この道の続く限り

落合まゆらはいつもの日課で、朝の六時に起床した。顔を洗って、パジャマを着替え、すぐにアパートをでた。玄関の戸締りをする間も、体がうずうずしていた。
「よし」
　今にも走り出したいが、深呼吸をして落ち着かせる。
　アパートの敷地内で軽くストレッチをし、ジョギングを開始した。
（今日は、ボイトレを長く……いや、いつも通り）
　これからもずっと、地道に続けて行くことだ。人生を変えるような嬉しいことがあったからと言って、頑張り過ぎるのは良くない。
「はあ、はあ」
　走り始めた。
　徐々にスピードを上げて行く。たんたんたんとリズミカルに足音を動かす。
　汗が頬を伝う。息が上がる。
　少しづつランナーズハイのような状態になっていくが、ここでぺースをくずすわけにはいかない。
寝子ヶ浜海岸に差し掛かると、足音が砂を踏む音に変わって来た。
「はあ、はあ、はあ……」
　いつものように、海岸についたので、タイムを確認。
「あ、二秒」
　二秒早い。心が躍った。
　空を見上げながら深呼吸。
　思い浮かぶのは、先日届いた朗報のことだ。
（合格、したんだ）
　スタート地点だとは分かっている。しかし、喜んではいけないなんてことはないはずだ。
　砂浜でストレッチをし、ボイストレーニングを行う。

　つい、張り切り過ぎてしまった。

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