シャーク・オブ・ジ・アポカリプス｜リアクション

シャーク・オブ・ジ・アポカリプス

　修と、ヘッドセットをつけた莉鳥は甲板の端へと走る。
『みんなー！　ボク隕石追い払ったよ！』
「よくやったな、サメ乃助！　えらいぞぉ……！」
　映像の中で喋るサメ乃助に、ホロリと涙する博士。
「博士、このスクリーンの映像をもっと小さくして数を増やせますか？　別の角度からとか、大きさとか距離が分かるように」
「もちろんだ。こうすればいいかな？」
　博士はキーボードを叩き、隕石を捕える映像を増やす。
「修君、椎井ちゃん、ヘッドセット準備完了。管制は私がやるから、欠片に集中してね」
　蒼の言葉に、修と莉鳥はうなずき合う。
　各々のろっこんを行使すべく構えた。
「１４時方向、仰角４０、距離はまだ……ひきつけて！」
「まかされた！」
　莉鳥の指先から電気がほとばしり、隕石の欠片を砕く。
「残りは俺が！」
　更に小さな欠片は、範囲で勝る修のろっこんが跡形も無く分解。
　射程の関係上、距離が遠いものは対処が難しい。
　ゆえに、ろっこんの行使は蒼の指示で、ギリギリまで引きつけてからとなる。
「16時方向、仰角およそ30、小さな群れ！」
　修と莉鳥は蒼の指示で、甲板の上を走り周り、欠片を壊して回る。
　桜と博士、紫はボロボロになって帰って来るであろう、サメ乃助を迎えるボートの準備だ。

（ふふん、地球を守るバトルか。最高の対戦相手じゃない）

　オンラインゲームでチームを組み、大規模戦闘に挑む時のような高揚感が、蒼を包んでいた。
「次！　11時方向、仰角35、うわ範囲広っ！　細かいのがくるよ！　２人とも行ける？」
「無論だ！　こういう時の為の力なんだ、今使わなくては」
　修は汗を拭って応え、莉鳥は黙って親指を立てた。
　２人が伸ばした手の先で、隕石は電撃に打たれ。
　あるいは、音もなく消えてゆく。

　――どれ程の時間、それを続けただろうか。

「んー、んんん……やったな、お前ら。さっきので地球に到達しそうな欠片は最後だ。後はみんな、大気摩擦で燃え尽きるぞ」
　テオの言葉にへたり込んだ３人は、サメ乃助を迎えに行くというボートを黙って見送った。
「はいはい、お疲れさんでしたー。お水ですよっと」
　そして、ラッセルの持ってきた水のグラスをカチンと合わせ、一気に飲み干したのだった。

このページにイラストを設定する