非科学的なモノ（おばけ）はあった！！｜リアクション

非科学的なモノ（おばけ）はあった！！

　◆森猫様、参戦――！

　落神神社が夕暮れに落ちた頃、その声は大きく響いた。

「おんぎゃあーー！！？？」

　砕牙のマジビビリの声。驚きの声と恐怖に怯える感情が入り混じったその声に、カラス達が驚いて森から去っていく。
　その仕掛けを施したタルトはとても大喜びで、仕掛けを次々に施していく。
　ゼロと想花も様々な工夫をこらして砕牙を脅かす仕掛けを準備して、前回と同じ流れを作り出していた。

　それから、数十分してからのこと。
　仕掛けを繰り返し設置していたところで、想花がタルトに視線を送ると違和感に気づく。

　今回は鏡を並べ、同じ人を見せるという仕掛けなので合わせ鏡になって見えることはあり得るだろう。
　しかしどう見ても、違う動きをするタルトが２人もいるのだ。流石にこれは鏡では説明がつかない。

「あれ？」
「想花さん、想花さん。アレって……」
「うん……ぼくの見間違いじゃないよね？」
「ゼロにも見えてるのです……」

　ゼロと想花の２人は反対側にいるタルトが２人いることに気づく。
　お伺いを立てた時はいなかった森猫様がタルトに化けて出てきたようで、２人はタルトに合図を送った。
　その合図が何かわからないタルト（？）はすたこらと道のど真ん中に出てきたが、思わずタルトがガッと腕を引っ張って元に戻して森猫様を止めた。

「何するにゃー！」
「まだ脅かしてる最中だからさ。一緒に脅かしたいんだよね？」
「むにゃー！　今回もダメっていうのかー！」
「ダメじゃないよ。今回はむしろ……森猫様が主役！」
「にゃ？」

　タルトの言葉に森猫様は首を傾げ、話を聞く。
　参加できないと思っていた脅かし役に参加できるという言葉と内容に、目をキラキラと輝かせて……。

「つまり、この道を通って来た人を脅かすの。鏡はその伏線！」
「にゃー！　たのしそう！」
「あっ、でも人は呪っちゃダメだからね！　僕とゼロちゃん、想花ちゃんとのお約束！」
「おやくそく！」

　ビシッ！　とポーズを決めた森猫様は、改めてゼロと想花にもお辞儀をしてから準備を進める。
　最後に到達した人に化けて脅かすという手法を取るようで、タルトから色々注意点を聞いてから落神神社に向かっていた。

「砕牙さん、大丈夫なのでしょうか……」
「うーん……祈ろう」

　あれだけ大声でビビる砕牙が森猫様の驚かしを受けて大丈夫なのか？　という不安に駆られるゼロと想花。
　しかしねこったーで集まったお客さんたちの脅かしもあるため、彼を追いかけられずにその場に留まる。

　なお２人の考えは大方予想通りで、最後の大声は今までにない大音量だったと燦斗は語っていた。

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