猛暑注意報！｜リアクション

猛暑注意報！

☆星ヶ丘でリゾート！

（去年に引き続き、伝説の水着デーが今年も再びキター！）
　寝子島アニメーション学院声優科2年生の落合まゆらには、夏の黒歴史がありました。
　去年の夏連日の異常な熱さのせいで頭が茹ってしまい、アニメの世界の『水着令』を現実のことと思い込んでしまったのです。
　ビキニ姿で街を歩いて注目を集めたことを、我に返って、恥ずかしくて穴に入りたい気分になったものでしたが。
　驚いたことにそれから程なくリアルで『寝子島全島水着デー』が発令されたリしたのでした。
（さすがに去年のあの時だけだと思ったのに……まさかこのまま寝子島の恒例行事になるとか？）

　なんて思いつつ、いそいそと水着姿になって、まゆらは旧市街のアパートを出ました。
　ペパーミントカラーのボーダー柄ビキニは爽やかで、まゆらによく似あっていました。
（なんというかすごく大胆な気分）
　去年は黒歴史を隠蔽できたせいもあって、周囲の水着女子を観察しながら大胆に振舞いましたが。
（こうしてよーく見てみると、まるで海外のリゾート地にでも来たような気分）
　とはいえ、風景は見慣れた商店街だし、こちらにジロジロ視線を向けたり、ドギマギと目をそらしたりする男性たちは残念なことにどう見ても日本人で、リゾート気分も台無しになってしまいます。
　ふとまゆらは思いました。
（星ヶ丘に行ったら、より一層海外のリゾート地にバカンスで来たような気分が味わえるんじゃない？）

　そこで思い切って星ヶ丘まで足を伸ばしてみたのでした。
　一歩駅を出ると、日本とは思えない地中海を思わせる景観、丘には白い建物の高級店が並びます。
「来て正解！　完全に海外のセレブなリゾート地じゃないの！」
　こういうところで水着で歩くと、本当にセレブになった感じがします。
「さて、どこに行こうかな？」
　海沿いは水着に合うけれど、当たり前すぎて何か違う気がします。
（せっかく星ヶ丘に来たんだし）
　ちょっと迷って、まゆらは屋敷街に足を踏み入れることにしました。

　足の向くままを散歩していたら、賑やかな声が聞こえてきました。
「そこのあなた、素敵な水着ね。今プールパーティをやってるんだけど参加しない？」
　サングラスをした綺麗なお姉さんに声をかけられました。
「え？　プールパーティ？　いいんですか？　あたしただの通りすがりですよ？」
「友達が来れなくなってしまったの。これも何かの縁だし、急ぎの用事じゃないなら一緒に楽しみましょ？」
「そ、それじゃ遠慮なく」
　招かれるままおそるおそる会場に足を踏み入れると、そこには映画のような世界が広がっていたのでした。
（いつかこんな役を演じることになったら、この経験が役立つかも？）
　そんなことを思いながら、勧められた冷たい飲み物を味わいました。
　
　こうしてまゆらは、とても充実した一日を過ごしたのでした。

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