猛暑注意報！｜リアクション

猛暑注意報！

☆水着デー、発令！

「暑いわね……」
　寝子島町役場勤務の町長秘書、三折部朝衣は思い出していました。
（去年も確か、こんな調子で暑かった時に、水着デーやったよね……）
　そんなことを思っていたら。
「三折部くん、ちょっと」
　複雑な表情の総務課長に手招きされ。
「町長のお達しで、本日水着デーをやることになった。町長自らが広報車で水着デーの呼びかけをする」
「ということは……」
　普段の出張は専門の運転手がいますが、すでに予定が入っているので町長の急な思いつきに対応するのは無理な相談です。
　となると、当然町長秘書である朝衣が広報車を運転するわけで。
「運転を頼む。それと、君も水着の準備を」
　そんなわけで、朝衣は水着を準備する羽目になりました。

　更衣室で水着に着替えながらふと気づきます。
「今年は町長秘書の仕事が多忙であまりサーフィンに行けていないから、日に焼けてないな……」
　去年は日焼けした肌に白いバンドゥビキニをつけていたんだっけ、と思い出しました。
　さすがに役場内を水着で歩くのは恥ずかしく、車に乗り込むまでは上から服を着ていましたが。

「寝子島の皆さん、中沢リッカルドです。今日は高温のため、熱中症にはくれぐれも気をつけてください……」　
　スピーカーで熱中症対策をしきりに島民に訴えている町長。
（仕事熱心だな）
　とは思いますが……水着姿で広報車に乗らなけりゃ、の話です。
（暑い……）
　朝衣の頬を汗がつたいました。
　周囲の視線は町長だけでなく、むしろ水着姿の朝衣に向けられますし。
　車中は窓から容赦なく日光が照り付けてきます。
　一応、クーラーはガンガンに効かせてありますが、朝衣はまだしもあまり効かせすぎて町長に風邪をひかせたりすると後で面倒なことになるので、気を遣います。

（どうせ水着着るならオフが良かった……）
　結局、今年の水着デーも仕事で終わったのでした。

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