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其れは彼と彼女で作る、特別なとある一日。
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「こんにちは」
「お邪魔します」
「いらっしゃいませ。ふふ、ご案内するわね」
待ちに待った約束の日、2人揃って『somnium』を訪れた修とあおいを、嬉しそうににっこり出迎えてくれた伊都子さんが案内してくれたのは、作業部屋だという母屋の一室だった。そんな伊都子さんに丁寧に頭を下げて、修はお礼の意味も込めたお土産を渡す。
というのも、
(礼金は受け取って貰えそうにないもんなあ)
体験工房に行ったり、スペースを借りるのであれば当然お金がかかるものだし、幾ばくかの謝礼を包んで渡すのは、決しておかしな事ではない――と思う。が、伊都子さんは何となく、そんなものは要りませんよ、とご機嫌を損ねてしまいそうだ。
ゆえに修が選んだのは、どちらかと言えば日用品よりの消耗品セット。プロ相手に何を渡せば失礼に当たらないか――と悩んだ末のキッチンペーパーや敷き型紙、ペーパーナプキンといった品は大正解だったようで、とっても助かるわ、とにっこり受け取ってくれた。
それから2人を順番に見つめて、伊都子さんはほんの少し首を傾げる。
「お2人とも、シルバークレイの作り方はご存知? 何か、お聞きになりたい事はあるかしら」
その言葉に、2人は顔を見合わせてから、こっくり大きく頷いた。何しろ2人揃って素人だ、事前に本を読んだりして調べて来てはいても、一から十まで初めてのこと。
よく解らなかったところは伊都子さんに教えて貰えたら心強いと、それぞれに質問を口にする。
「まずはよくこねる事――って書いてあったんですけど、どの位こねるとか、目安はありますか?」
「こね方のコツとか――」
「あら、あまり難しく考えなくても良いのよ。楽しいのが1番ですからね。あとはそうね、私が作る時は、ですけれど――」
そんな2人の、もしかしたら初心者に過ぎるかもしれない質問に、だが伊都子さんは嬉しそうにニコニコと、コツを丁寧に教えてくれた。力加減や大まかな手順、それから伊都子さんの失敗談なんかもちょっとだけ。
考えてみれば当たり前なのだけれど、伊都子さんにだって失敗する時はあるのだと知れた事は、特にあおいをほっとさせたようだった。明らかに肩と顔の力が抜けた彼女を見ながら、修もまた小さな息を吐いて伊都子さんに礼を言う。
「ありがとうございました。焦らず、丁寧に頑張ります」
「ええ、それが1番ですよ。どこまで行ってもね、やっぱりそれが1番なの、どんな時もね」
修の言葉に伊都子さんは、にっこり頷いた。シルバークレイに限らず、それが作品を上手に作る1番の基本で、1番のコツなのだと笑う。
それから簡単に作業部屋の説明と、作業台に用意してある道具の説明をして、何かあればいつでも仰ってね、と店に戻って行った伊都子さんを見送ったら、いよいよ製作開始だ。さて、と用意してきたシルバークレイのパッケージを前に、もう1度手順を確かめる。
当初、修はモールドで形を作って、石枠を埋めて、ルビーを入れられるよう石枠の内側を掃除して、焼成――と考えていた。が、それを伊都子さんに尋ねると、彼らが用意してきた石枠やアクセサリーパーツを確かめてから、『これなら乾かしてからペーストで接着した方が簡単だと思うわ』と言われたのだ。
だから、まずはシルバークレイをよくこねて空気を抜いて、モールドの中へ。だが、こねていると空調や手の温度でどんどん乾いてくるから、都度水を足して柔らかくする必要もある。
その、水加減が案外難しい。基本的には指先を濡らす程度で十分、という話だったのだが、用心し過ぎてちょろっとしか付けないと足りないし、かといって気持ちしっかりつけてしまうと銀の粘土はたちまちべちゃっとしてしまって。
それでもどうにかこうにか銀粘土をこね上げて、大まかに形を作ったらシリコンモールドに押し込む。ぐにぐにと丁寧に押し付けてモールドの隅々まで行き渡らせ、ドライヤーで乾燥させたらモールドから外して、細部の成型と修正だ。
しっかりと固まった銀粘土は、だがその感触とは裏腹に意外ともろい。凹凸の大きいところは目の細かいやすりでこすって、細い針のような器具で細部を修正して、石枠と金具をシルバークレイペーストで接着して、ドライヤーで乾燥させて、またやすりで整えて、細部を修正して――
(……息をするのを忘れてしまいそうだ)
その繊細な作業の繰り返しに、修は知らず詰めていた息を「ぷはっ!」と吐き出した。どうにかこうにか形になったかと、少し離して見てみる修の向かいでは、同じくあおいが小さな銀猫を矯めつ眇めつ眺めては、細針で突くように何かを修正している。
そんな試行錯誤の末、ようやく何とか形になった2匹の猫を電気炉に入れた時には、2人ともぐったり疲れ切っていた。炉の使い方を教えに来てくれた伊都子さんが、うふふ、と微笑んでアイスティーをご馳走してくれる。
それをありがたく飲み干して――思っていたより喉が渇いていたらしい――一息つくと、今度は焼成中の電気炉がどうにも気になってしまった。中が見えない分、果たしてうまく焼けるのか、不安と期待にソワソワし、炉の前でウロウロしてしまう。
が、ふと『自分の姿が何かに似ている』と気付いて修は足を止め、天井を見上げながら考えた。何だろう――これは、そう、あれだ、
「ドラマでよくある出産の時みたいだ」
「あははっ! やだ、修くんってば!」
苦笑と共にその既視感の正体を告げると、あおいが堪え切れないように吹き出した。その様子についジト目になって「もしかしてあおいもそう思ってた?」と尋ねると、くすくす笑いながら「そんなことないよ」と返される。
そうしてあおいは目尻の笑い涙を拭いながらにっこり笑って、修を真っ直ぐ見つめこう言った。
「修くんらしいな、って思ってたの」
「俺らしい?」
「うん」
それはどういう意味なのかと尋ねてみても、あおいはただ笑うだけだ。――が、その表情や口調からは好感だけが伝わってくるから、それで良いかと修は小さな笑みと吐息を零す。
そんな風に、そう長くはない焼き時間を楽しくも落ち着かない気分で過ごしていたら、あっという間に焼き上がりの時間を知らせるベルが鳴った。その音に、ぱっ、と顔を見合わせると修とあおいは、もどかしいような、わくわくするような、緊張するような、何とも複雑な気持ちで慎重に、ゆっくりと電気炉の扉を開ける。
最初に感じたのは、金属の匂いのする熱気。それに目を細めた修とあおいの視界に、炉に入れる前よりも一回りほど小さくなった、白い2匹の猫が映る。
わぁ、とあおいが嬉しそうなため息を漏らした。修もほっと胸を撫で下ろして、そのまま少し冷ましてから取り出すと、ステンレスブラシで丁寧に磨いて銀のツヤを出していく。
そうして最後に、石枠へとルビーを嵌め込んだら……
「完成、だ」
コロン、と小さな2匹の銀猫を見つめて、ため息とともに修は小さく呟いた。呟いてまた、ほぅ……と長い、長い息を吐く。
それは安堵の息でもあり、感嘆の息でもあり、同時に誇らしげなそれでもあった。作ることや育てること、それを成す人々を大切に思い、敬意を払う修にとって、自分自身が作り手となれた事はとても嬉しく、誇らしかったのだ。
もちろんよく見れば銀猫は、恐らく成型の段階での微妙な凹凸や、焼成中の収縮によるものと思われるちょっとした歪みもあった。が、あおいと2人で頑張って作ったアクセサリーなのだ、それすらも愛おしく感じられる。
「俺達が作った『世界に1つだけ』だね」
「うん!」
2匹の銀猫のうち、自身の作った1匹を手のひらに大切に乗せて見つめながらそう言った、修の言葉にあおいもまた、同じく自身の作った銀猫を手のひらの上で見つめながら大きく頷いた。そうしてふっと微笑み合って、互いの健闘を称えハイタッチする。
そんな2人の嬉しそうな様子を、互いの手のひらの2匹の銀猫だけが、静かに見つめていたのだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
蓮華・水無月
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年02月17日
参加申し込みの期限
2022年02月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年02月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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