そのお店『somnium(ソムニウム)』は、シーサイドタウン駅から少し離れた、ちょっと裏路地のような、けれどもどこか洒落た雰囲気を持つ通りの一角にある。
取り扱っているのは色んな雑貨や、アクセサリー。それから店主夫婦が毎日心を込めて焼いている、焼き菓子やケーキの類。
雑貨類は店主夫婦が気に入ったものだけを取り寄せたり、時には手作りをして売っているとかで、素朴だけれども優しい雰囲気のものが多い。それはともすれば、売り物ではなくそれ自体が店を彩る装飾にも感じられる。
ガラスケースに並んだケーキや焼き菓子も、それは同じ印象で。並んでいる種類は多くないけれども、1つ1つ丁寧に作られたお菓子はとても優しげな趣きで、お店の雰囲気にしっくりと馴染んでいる。
さて、その『somnium』のカフェスペースには、日々色々なお客様が訪れては思い思いの時間を過ごしていた。
散歩のついでに立ち寄ってお茶を飲んでいくご近所さんが居るかと思えば、いつも同じ時間に同じテーブルに座って読書をしていく大学生が居る。かと思えばあちら側では、お小遣いを握り締めて来たのだろう小学生が、にこにこ笑顔で季節のパフェに舌鼓。
そんな店内の一席で、
八神 修と
七夜 あおいは話していた。
「――という訳で、今度の休みの日くらいに一緒に、どうかな」
「いいね!」
修の言葉に、あおいが手を合わせて嬉しそうににっこりする。そんなあおいに目を細め、修は「良かった」と微笑んだ。
――先日、あおいは18歳の誕生日を迎えた。18歳というのはちょっと特別な歳だ――世の中的にはまだまだ子どもという扱いを受けることの多い歳である一方で、大人としての権利や義務も生じ、それに応じた振る舞いも求められる頃。
そんな18歳、高校3年生の特別な誕生日だから、特別に祝いたいと思うのはきっと、自然なことで。だから最高の誕生祝いになればいい――そうしたいと、考えたのが手作りであおいの誕生日を祝おう、というもの。
幸いにして彼らの手元には、以前にとある事情で手に入れたルビーがある。シルバークレイでアクセサリーを作り、そこにルビーをはめ込めば、それはとてもとても特別で、素敵な誕生祝いになるのじゃないだろうか。
そんな修の提案に、面白そうだとあおいは大きく頷いた。そうして次の休みに、と話が決まったのだけれど、
「俺の家で作る? それか桜花寮か……」
「うーん、なら寮母さんに聞いてみるね。あとは道具を買わなくちゃ……?」
「――あら。だったら、私の道具をお貸ししましょうか?」
段取りを話し合っていた2人の上に、不意にそんな声が降って湧いた。はた、と顔を見合わせてからそちらを向けば、『somnium』店主夫妻の1人
木原 伊都子がにっこりしている。
そうして「聞こえてしまったものだから」と前置きして、修とあおいを見ながらこう言った。
「もしお持ちだったら、忘れてくだすって良いのよ。でも、これから揃えるとなったら色々と必要でしょう? 学生さんがお休みの日でしたら、私はお店があるから使わないし――ああ、電気炉なんかも必要だったらもう、私の作業部屋を使ってくだすっても構いませんよ」
もしご入用だったらまた仰ってね、と微笑みだけを残して伊都子さんは、銀のトレイと共に去って行く。ゆえに残された少年少女は、また互いの顔を見合わせたのだった。
いつもお世話になっております、蓮華・水無月と申します。
この度はご指名を頂きまして、本当にありがとうございました。
ご期待に添えますよう、精一杯務めさせて頂きますね。
素敵なアクションを心よりお待ちしております。
さて、本シナリオでは手作りアクセサリーで特別なバースデーを……という事で、小物作り大好きな伊都子さんがうずうずと顔を出してしまいました。
が、もちろんスルーして頂いて構いません。
もし道具だけ借りるとか、作業部屋で作業をさせてもらうとかでも、伊都子さんが必要以上に(アクションでの指定なく)関わってくることはありませんので、どうぞご安心ください。
逆にアドバイスを求めた場合は、うきうきと教えて下さることと思います。
という訳で、アクションにはお手数ですが、以下の点を明記して頂けますと幸いです。
(※番号だけで結構です。アクションの文字数は貴重ですからね!)
◎作業場所
①八神さんご自宅
②桜花寮
③『somnium』作業部屋
④その他(具体的な場所をご指定下さい)
◎道具の用意
(1)各自で購入して用意
(2)伊都子さんからレンタル
(3)その他(可能であれば具体的な入手経路をお願いします)
トータル作業時間ですが、シルバークレイはサポート付きの体験工房などですと1時間くらいで成形~焼成まで終わり、持ち帰りが出来るようです。
ご経験がないようでしたら、おしゃべりをしたり、試行錯誤をしながら作成すると考えますと、2~3時間ほどと思われます。
それではどうぞ、よろしくお願い致します(深々と