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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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ウル寅な年明け！ 新春☆初夢フェア２０２２！ ～茄子編～
●春にうたう
ぴょん。
甘い乳白色の夢の中から、可愛らしいイースター・バニーが飛び出した。
それは春の日最初の満月がかかる、日の曜日。大斎をしていた子供も大人も待ちわびる、復活の日。
弥逢 遊琳は蜜飴の瞳をぱちりと瞬き。己をくるりと見渡した。春色に柔らかく染め上げられた、女学生風の巫女装束。手には籠。そこには綺麗に飾り付けられた卵型のお菓子がいくつも入っている。頭をそっと触れば、小さなシルクハットからぴょこんと伸びたうさぎの耳に触れた。
（復活祭か）
遊琳は自分の格好を不思議に思う事もなく、まずは足さばきを確認する。
茶色の編み上げブーツは上質な革でとても柔らかく、履き心地がとてもいい。袴の生地もふんわりとしていて、お日様のオーガンジーを幾重にも重ねたようで、優しく遊琳を包み込んでいる。うん。これなら、どこまでも歩いて行けそうだ。
次に遊琳は籠を確認した。中にころんと仲良く入っている卵型のお菓子達に、そっとその細い指を触れる。数も十分あるようだ。甘さは大丈夫かな。愛しき子達に配るには、うんと甘い方がいい。
さあ、誰に配ろうか。
遊琳は卵のお菓子をつまんで、ふふとその薄桃色の唇をほころばせる。
淡い、可愛らしい砂糖の装飾。それを見ながら、遊琳は大切な友人達の顔を思い浮かべた。
あの子達は喜んでくれるかな。ほっぺたに手を当てて、「甘―い！」って笑ってくれるかな。僕は、そんな君達の幸せそうな顔を見るのが本当に好きなんだ。
青
ザッとデータノイズのように乳白色に紛れ込んだその色に、遊琳は瞬間眉をひそめる。
その強い色はこの世界では誤魔化しようがない。―――君はほんとに、困った人だね。
「卵が欲しいの？ ……でもこの籠にはないんだよ」
苦笑いのように言葉を落とすと、遊琳は行燈袴をふうわりと広げ、独り乳白色の世界に座り込んだ。
この籠にはないんだよ。どうしてだろう。
復活の卵はきっと、君の心にあるのかもしれない。僕は今まで、そっと、そっと。たくさんの卵を君の心に忍ばせたのかもしれない。
でもね、探してなんてくれなくていいんだよ。
君の心に置いていった復活の卵。春になり、芽吹き、君の心に根付いてたくさんの花を咲かせればいい。そうしたら流石の君も驚くだろうか。
それが何の卵かなんて覚えていなくていいんだよ。
もうそこには何も残っていないから。想う必要はないんだ。ただただその手を放して、笑っていてくれればいい。
ぼんやりとした思考とも言えない霞が遊琳を包む。
僕はずっと覚えているのかな。
遺伝子に刻まれてしまった小さなキズのように。祝福された呪いのように。
夢の先で君に逢う日が来るのかな。
でもそんな時でも。僕はやっぱり意地を張って手は伸ばさないだろうから、逢えるのは君が気紛れに僕を思う時だけかもね。
それでいいんだ。いつだってどこだって。君は君のままでいればいい。
望んだ、ものは
刹那。直接頭にノイズが入る。遊琳の瞼がぴくりと動いたが、すぐに小さく首を振った。
僕は野うさぎ。春籠を持ち、息吹く季節の慶びを配って歩く、ただの野うさぎ。
蜜飴色の瞳を守るように、乳白色が濃くなる。やがて遊琳の姿は白い夢に消えていった。
軽やかにうたうよ 春告げうさぎ
彼が守る愛し子達に 甘いお菓子を配って歩く
密やかにうたうよ 春待ちうさぎ
卵の中でゆるゆると 彼は春に溶ける
そこは色のない真っ白な卵の中のはずなのに
青いお月様が照らしている
その何者も待たない寝姿たるや 嗚呼 いとしや
ぴょん。
甘い乳白色の夢の中から、可愛らしいイースター・バニーが飛び出した。
それは春の日最初の満月がかかる、日の曜日。大斎をしていた子供も大人も待ちわびる、復活の日。
弥逢 遊琳は蜜飴の瞳をぱちりと瞬き。己をくるりと見渡した。春色に柔らかく染め上げられた、女学生風の巫女装束。手には籠。そこには綺麗に飾り付けられた卵型のお菓子がいくつも入っている。頭をそっと触れば、小さなシルクハットからぴょこんと伸びたうさぎの耳に触れた。
（復活祭か）
遊琳は自分の格好を不思議に思う事もなく、まずは足さばきを確認する。
茶色の編み上げブーツは上質な革でとても柔らかく、履き心地がとてもいい。袴の生地もふんわりとしていて、お日様のオーガンジーを幾重にも重ねたようで、優しく遊琳を包み込んでいる。うん。これなら、どこまでも歩いて行けそうだ。
次に遊琳は籠を確認した。中にころんと仲良く入っている卵型のお菓子達に、そっとその細い指を触れる。数も十分あるようだ。甘さは大丈夫かな。愛しき子達に配るには、うんと甘い方がいい。
さあ、誰に配ろうか。
遊琳は卵のお菓子をつまんで、ふふとその薄桃色の唇をほころばせる。
淡い、可愛らしい砂糖の装飾。それを見ながら、遊琳は大切な友人達の顔を思い浮かべた。
あの子達は喜んでくれるかな。ほっぺたに手を当てて、「甘―い！」って笑ってくれるかな。僕は、そんな君達の幸せそうな顔を見るのが本当に好きなんだ。
ザッとデータノイズのように乳白色に紛れ込んだその色に、遊琳は瞬間眉をひそめる。
その強い色はこの世界では誤魔化しようがない。―――君はほんとに、困った人だね。
「卵が欲しいの？ ……でもこの籠にはないんだよ」
苦笑いのように言葉を落とすと、遊琳は行燈袴をふうわりと広げ、独り乳白色の世界に座り込んだ。
この籠にはないんだよ。どうしてだろう。
復活の卵はきっと、君の心にあるのかもしれない。僕は今まで、そっと、そっと。たくさんの卵を君の心に忍ばせたのかもしれない。
でもね、探してなんてくれなくていいんだよ。
君の心に置いていった復活の卵。春になり、芽吹き、君の心に根付いてたくさんの花を咲かせればいい。そうしたら流石の君も驚くだろうか。
それが何の卵かなんて覚えていなくていいんだよ。
もうそこには何も残っていないから。想う必要はないんだ。ただただその手を放して、笑っていてくれればいい。
ぼんやりとした思考とも言えない霞が遊琳を包む。
僕はずっと覚えているのかな。
遺伝子に刻まれてしまった小さなキズのように。祝福された呪いのように。
夢の先で君に逢う日が来るのかな。
でもそんな時でも。僕はやっぱり意地を張って手は伸ばさないだろうから、逢えるのは君が気紛れに僕を思う時だけかもね。
それでいいんだ。いつだってどこだって。君は君のままでいればいい。
刹那。直接頭にノイズが入る。遊琳の瞼がぴくりと動いたが、すぐに小さく首を振った。
僕は野うさぎ。春籠を持ち、息吹く季節の慶びを配って歩く、ただの野うさぎ。
蜜飴色の瞳を守るように、乳白色が濃くなる。やがて遊琳の姿は白い夢に消えていった。
彼が守る愛し子達に 甘いお菓子を配って歩く
密やかにうたうよ 春待ちうさぎ
卵の中でゆるゆると 彼は春に溶ける
そこは色のない真っ白な卵の中のはずなのに
青いお月様が照らしている
その何者も待たない寝姿たるや 嗚呼 いとしや
あとがき
担当マスター：
ＫＡＮ
ファンレターはマスターページから！
ＫＡＮです。
ご参加の皆様、ありがとうございました！
数年ぶりですかね。再び初夢茄子編です！ ひゃっほい！
相変わらず自由に書かせて頂きました。
前回もそうでしたが文字数にバラツキはありますが、私がかけた思いはどのPC様も等しく同じものです。ご理解下さい。
皆様にとって心に残る初夢になりますように。
そしてまた１年、元気で楽しく寝子島で過ごせるよう、お祈りしています。
それでは。
いつかまた皆様にお会いできること、楽しみにしています！
ご参加の皆様、ありがとうございました！
数年ぶりですかね。再び初夢茄子編です！ ひゃっほい！
相変わらず自由に書かせて頂きました。
前回もそうでしたが文字数にバラツキはありますが、私がかけた思いはどのPC様も等しく同じものです。ご理解下さい。
皆様にとって心に残る初夢になりますように。
そしてまた１年、元気で楽しく寝子島で過ごせるよう、お祈りしています。
それでは。
いつかまた皆様にお会いできること、楽しみにしています！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2022年01月03日
- 参加申し込みの期限
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- 2022年01月10日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2022年01月10日 11時00分
