AIを語ろう！｜リアクション

AIを語ろう！

Dear　五十嵐尚輝，

　私御巫時子の大好きな人は、尚輝先生です。
　え？　AI？　は、はい……AIしています！　―――言葉に出来ないくらい、AIしています。
　このAIをどこまでうまくお伝えできるか分かりませんが、頑張りますね。

　尚輝先生のAIするところですか。
　そうですね、尚輝先生は心が温かく、生徒想いですね。ボーッとしているなんて言われますけど、とっても細やかな気遣いをしてくれます。そんな素敵な気配りに、ドキドキする事も多いです。

　あと笑顔が素敵です。え？　見た事がない？　いえいえ、いつも穏やかに笑って下さいますよ。そんな先生の笑顔を見ていると、私も自然と笑顔になっているんです。
　先生は表情がとっても豊かですよ。困ったり照れたり真剣だったり。私が無茶しそうになった時には心配して怒ってくれたり。
　心配をおかけして申し訳ないと思うのですが、それでも気にかけて下さっている、という事がどうしても嬉しく思ってしまいます。……悪い子ですね、私は。

　私の我儘を聞いてくれる器の大きさと、傍に居る時の安心感も尚輝先生の魅力です。
　ああもう……全てが好きです。

　これからの事。
　ずっと、尚輝先生と一緒に居られたら嬉しいです。そして。
　―――夢を、見たんです。溶けてしまうくらい幸せな夢を。
　あのような未来が訪れて欲しい。密やかな、私の願いです。

　AIする尚輝先生。
　これからも先生のお弁当を作らせて下さいね。……ずっと、ずっと。

With love，
時子

＊＊＊＊＊

　御巫時子が初めて五十嵐尚輝を見た時、窓辺で彼は鳥と話しているように見えた。
　鳥が好きなのかな。
　少ぉし嬉しくなったのを覚えている。時子も鳥が大好きなので。
　―――それがまさか、ここまで尚輝を好きになるとは。

　いつの間にか。
　彼の人柄のように、穏やかに静かに、時子の心には尚輝がいた。
　生活全般に無頓着な尚輝。縁あってお弁当を作るようになって。
　お弁当箱を取りに来る時子に、尚輝はコーヒーを淹れてくれるようになった。そのまま２人で和やかに話すようになった。科学の話になると少年のように目を輝かせて止まらなくなる尚輝を知った。
　時子にとって、研究室で尚輝と過ごす時間は、かけがえのないものになった。

　寝子島で過ごす彼との日々はとても愛おしくて。
　例えば、ハロウィン。
　お祭り好きな寝子島は、至る所でハロウィン☆デイズ。
　勿論寝子高も例外ではなく、みんなが仮装で大騒ぎ。
　「僕はマッドサイエンティストでいきます」なんていつもの白衣のままあなたが言うから、私は慌てて猫耳のカチューシャを差し出した。
　素直に猫耳をつけてくれ、「……どうですか？」って照れるから、「とってもよくお似合いです」って言いながらあなたの緩んだネクタイを締めなおしたけど。
　２人きりの化学室。かっこよくて可愛くて、私はドキドキしっぱなしだった。

　気付いていますか？　私は人に結んであげるネクタイが、凄く上手くなりました。元々お料理は好きだったけれど、お野菜のレパートリーが増えました。
　気付いていますか？　いつもネクタイが緩んでいて、お野菜が苦手な人の傍で、変わっていく私を。

　本当に色々な事があった。思い出はたくさんある。もう今では、時子は頭の先からつま先まで、尚輝への想いでいっぱいだ。

　３年になって。尚輝が担任になって。ますます嬉しくなって。
　それなのに、もっとと思ってしまう自分がいる。もっと、もっとと。

　欲深さに、震える。
　けれども、それが恋する者の業なのかもしれない。
　これだけ彼の優しさに甘やかされたら、ちっぽけな私など抵抗できるはずもない。

　どれだけ、これから彼の隣にいられるのだろう。
　願わくば、永遠でありますように。
　例えそれが果てしない甘い苦しみに身をゆだねるのだとしても。

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