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深層深淵劇場 天河航路
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舞台には真っ赤な天鵞絨の緞帳が掛かっていた。
「ここは……劇場?」
唐突な場面転換に驚愕し、
志波 拓郎
はあたりを見回す。
ぶつかった視線は
高梨 彩葉
のもの。長い前髪は緞帳のようで、そこから覗く青い瞳は、客の入りを気にする演者のように僅かな緊張を湛えている。
開演時間が迫っているようだ。着席を促すアナウンスが流れている。
拓郎は恋人が一緒にいることに安堵して、彼女と並んで空いた席に座った。
サーカスのテントのように可愛らしい小さな劇場だ。客席はほぼ埋まっているが、客たちの姿は朧げな影のようにしか認識できない。目がおかしくなったのかと上方を仰ぎ見れば、尖ってすぼまる中心部から吊られた金色の星がハッキリと見えた。
「どんなお話が始まるのかな……」
ドキドキしていると、拍手喝采が鳴り響き緞帳が上がる。
まあるくスポットライトが当たった舞台に、編みぐるみの役者たちが飛び出してきた。
はじめは恋の話かと思った。
「ごめんなさい」
友達の好きな子に告白され断ったのは茶色で青い目をした子猫。
子猫はただ正直に行動しただけ。しかしそれは虐めの切欠となってしまう。スポットライトが消え、またついた時には茶色で青い目をした子猫のまわりを沢山の編みぐるみたちが取り囲んでいた。
「ねえ、あんた。私がアイツのこと好きだって知ってたよね。どういうつもり」
「彼も、彼を好きだったあの子も、あんたのやったことで傷ついてると思わないの」
「……!」「……!」「……!」
続けられる言葉は聞くに堪えず、拓郎は不安になって彩葉は大丈夫かと横目で見れば、彩葉は驚愕したように色を失くして舞台の上で起こっていることを見つめている。その表情にハッとして、拓郎もまた舞台の編みぐるみを凝視した。
(あぁ、もしかしてこの内容は……)
(私の、過去……)
彩葉はキリキリと心の臓が痛むのを感じながらも、舞台から目を離せずにいた。
場面が変わり、編みぐるみたちは中学生になっている。
先ほど虐められていた茶色で青い目の猫はこの場面では人気者として舞台の中央で友人に囲まれ、逆に虐めていた友達のほうが舞台の端で一人ぼっちになっている。
青い目の猫は悪気なく話している。
「小学校の頃虐められてたんだ、あの子に」
そうなの、ひどいね、と周りの編みぐるみたちが同情する。青い目の猫はようやく分かってくれる友だちが出来たと嬉しくなって、そのころどんなに辛かったか、されたことでどんなに傷ついたかを話すのであった。
(……あんなふうに話さなければ)
彩葉は目を伏せた。この先の展開を知っているから。
ちいさな彩葉は辛かったのだ。誰が彩葉を責められよう。彩葉はただ正直であっただけ。この物語を辛いものにしてしまったのは、いい人ぶって取り囲んでいた傍観者たちだ。俯瞰して見ている者ならそう思うだろう。
けれど彩葉自身は思えない。
ちょっとしたボタンの掛け違いと思うには、背負いきれないことが起きたから。
「……もう、いや……」
あの子は自殺未遂をした。
照明が一気に落ちる。
それが終幕であった。
後悔が、ギリギリと食い込むナイフのように心臓を突く。
(痛みを分かって反省して欲しかっただけだったの。けど……私がさせた)
朧げな観客たちは、口笛を鳴らし拍手喝采だ。
拓郎が戸惑っていると、一度は下りた緞帳が上がった。
舞台にはもう、茶色で青い目の子猫も、『あの子』役の編みぐるみも、取り囲んでいた子たちもいない。
ただ一匹、黒くて青い目をした猫がいて、彩葉に語り掛けてくる。
「可哀想な彩葉ちゃん。大切な人にばれちゃったね。嫌な所をいっぱい見せちゃったね」
「……!」
息を呑む彩葉。頭に血が上った拓郎は座席を飛び越え、舞台上の黒猫を鷲掴む。
「おまえは、彩葉さんの過去を勝手に暴いたな……!」
目茶目茶に揺さぶられた猫は、怒るでも慌てるでもなく、ただ寂しげだった。
「醜いって思ったでしょ? 嫌われたって仕方ないよ、だって――私は貴方に嫌われたって仕方ないもん」
「……『嫌われたって仕方ない』……まさか」
拓郎は込めていた力を抜いた。
(……そうか、これも彩葉さんの一部なのか)
拓郎はその子を彩葉のところへ運ぶ。
彩葉は猫と同じ青い瞳に涙を溜めて、言葉なく拓郎を見上げる。
怒りはもう消えていた。むしろ、これを壊したりしてはいけないと、拓郎は舞台に編みぐるみを戻した。
「彩葉さん、行こう」
同情も憐れみもちがう、それは失礼だ。
だから、手を伸ばす。
彩葉は泣きそうな顔で拓郎を見つめ、差し伸べられた手を掴んだ。
一緒に劇場を後にして、朧げな道をただ繋がれた手だけを頼りに歩く。
「嫌いになんか、ならないよ」
前を向いたまま拓郎は言った。
今の、この気持ちを言葉にするのは難しかった。だからそう言うのが精一杯で、足りないのは重々承知しつつも、繋いだ手に力を込めることしか出来ないのが歯がゆい。
彼女の足取りは覚束ない。長い前髪が揺れている。それでも拓郎と繋いだ手は離さない。歩き続けている。止まらずに。そんな彼女だから、拓郎は誓う。
「彩葉さんが動けないなら、自分がそれを支えるよ」
観客の居なくなった舞台に、取り残された黒猫が一人。
まあるく当たったスポットライトの中で孤独にいる。
そのとき舞台の袖から柴犬の編みぐるみが出てきた。
黒猫が動かずにいると、柴犬は黒猫に駆け寄って優しくその身を抱きしめる。
ぎゅっと。
ぎゅうっと。
『嫌われたって仕方ない』――彼女の本音に、それがお返事。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年11月08日
参加申し込みの期限
2021年11月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年11月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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