【星幽塔】第一階層　シェイプ・シフター｜リアクション

【星幽塔】第一階層　シェイプ・シフター

　砦の前で四人は顔を合わせた。
　その中の一人、漫歩は他メンバーの顔に見覚えがあることに気づく。
　バーアストラルで、とある依頼書が公開された時に居合わせた者達だ。
「君らも『シェイプシフター』退治？」
　全員、この砦に入るつもりらしいので意思確認。
「うん、僕はそのつもりだよ！」
　響タルトはニコッと笑う。彼女は大きめのトートバックを肩にかけていた。何が入っているのだろう。
「私も。よろしく」
　水上桜はそう言って、砦を見上げる、
「お、こんだけ人数がいれば心強いな」
　レグルス・シェルタンが意外そうに三人を見回す。
「俺一人かと思ってたから心強いぜ」
　タルトが目を輝かせながら、レグルスを見回す。
「素敵。どっちでも絵になりそう」
「どういう意味だ？」　
　タルトは曖昧に笑って誤魔化す。
　桜はそんな様子を観察しつつ、
ため息を一つ。
「仲間だと思いたいけど、疑わなきゃならないのは気分悪いわね」
　歩は桜の意見に頷いて、
「とりあえず、砦に在中してる人達に話を聞こう」
　四人は頷いて、一緒に中へ入った。

　入口付近に守衛が三人いた。彼らは四人の姿を見て、すぐに事情がわかったようで、
「退治に来てくれた人達か？　すまないが、よろしく頼む」
　怯えたような様子。
　すると、桜が少し考えて、
「三人だけですか？」
　そう、問うたのだ。
「え？」
　守衛の一人が顔を引きつらせる。
「ああ、すみません、見間違いですね。入って来た時、四人いたように見えたので」
　三人は顔を見合わせる。
「そ、それじゃ、持ち場に戻るのでよろしくお願いします。わからないことがあれば、聞いて下さい」
　彼らはそそくさとその場を離れて行った。
「おお、動揺してたね？」
　タルトが感心したように言う。桜は眉を寄せる。
「特徴を聞く限り、今ので出て来てもおかしくなかったと思うんだけど」
　歩が何度か頷く。
「良い方法かもな。揺さぶりをかけて、正体を暴く、と」
「僕も自分なりの方法でやってみるよ」
　タルトがにひひと笑う。
「正体見破るのはあんたらに任せた方が良さそうだな。俺は砦の外でやってくる奴らを迎え討つことにする」
「そういうことなら、俺達が暴いた奴が外に逃げた時は頼むよ」
「ああ、了解だ」
　レグルスは頷いて、外へと出て行った。新しく侵入してくることも防いでくれるだろう。

このページにイラストを設定する