もちもち思い出、ねこじま和菓子ウィーク！｜リアクション

もちもち思い出、ねこじま和菓子ウィーク！

〇めざせねこじま羊羹！

「『ねこじま和菓子ウィーク』良いね。甘いものは好きだしスタンプラリー完成目指して食べ歩いてみよう！」
　寝子高３年の佐藤英二は、スタンプラリー参加のお店を前もって調べた。　
（あまり一気にたくさん食べると甘いものが食傷気味になってリタイア……なんてことになりかねないし）
　お腹いっぱいまで食べずに美味しく味わう程度にとどめて、計画的に食べ歩こうと英二は考えたのだ。
「『ねこじま和菓子ウィーク』期間中に対象店舗を制覇すればいいんだから、焦ることはない」
　お店の名前を検索すると、売っているお菓子の名前や写真も出てくる。
　みたらし団子、煎餅、たい焼き、豆大福、わらび餅、おはぎ、どら焼き、水羊羹、栗羊羹、いちご大福、寒天寄せ、抹茶のゼリー。
「この機会にいろいろな和菓子を食べるのが楽しみだよ」
　それに初めて入るお店とかあるし思わぬ発見や体験があるかもしれない。
　スタンプラリーを完成すれば、特製「ねこじま羊羹」をゲットできる。
（野々さんに見せてあげよう。と言うか羊羹を半分こにして進呈しても良いかな）
　英二の頭に、気になる友人の野々ののこの無邪気な笑顔が浮かぶ。
（野々さんが喜ぶ顔が見れたらすごく嬉しいよね）
　そう思いながら、地図から最初の候補を選び出した。
「まずは……萩屋に行ってみようかな」
　

「最近和菓子がよく目に付くと思ったら、こんな事やってたんですね……これは参加しない訳にはいきません♪」
　３年の巫部紫苑は、たまたま目にとめたスタンプラリーのカードを眺めながら心躍らせる。
「さて、参加店舗は……いっぱいありますねぇ。ふふ、全部回るのを考えるだけで楽しくなっちゃいます」
　わくわくしつつ、最初のお店を決める紫苑。
「それじゃ最初のお店に行って……」
　暖簾をくぐると、先客の英二の姿があった。
「わらび餅をください」
　英二がわらび餅を受け取ったところで、紫苑は店の人に声をかける。
「商品を全種類ください」
「えっ？」
　店の人と共に、英二も耳を疑った。
「全部のお店の和菓子全種類……美味しいものたくさん食べられそうですね♪」
　英二は驚いて清楚で落ち着いた雰囲気の紫苑を眺める。
（持ち帰りなのかな……？）　
　しかし紫苑は喫茶スペースに座り、言った。
「全部こちらでいただきます」
　別の店員さんが麦茶と共に運んできた和菓子第一弾を、紫苑は優雅に、かつすごい速さで食べ始める。
「このあんこ、絶品ですね♪」
（すごいなあ……）
　呆然とした英二はひとまず店を出て、寮に帰ってから食べることにしたのだった。
　
　和菓子を美味しくいただいて店を出た紫苑は、次の店に向かう。
「喫茶スペースが無いお店の和菓子はある程度買い溜めしたら、ゆっくり食べられそうな場所で休憩がてら頂いちゃいましょう」
　スーパーの喫茶スペースを借りて嬉しそうに和菓子を広げる。
「ふっふふ、和菓子に合いそうなお茶も水筒に入れてきましたし、たくさん和菓子が食べられて幸せです♪」

「次は喫茶店ですか……昼食も兼ねて喫茶店のメニューも一通り頂いちゃいましょう」
　紫苑の胃袋は底なしであった。
「まだまだお店はいっぱいありますし……スタンプラリー制覇で貰える【ねこじま羊羹】も楽しみですねぇ♪」

「あ、食べるのに夢中でお土産忘れてました……えっと、日持ちしやすい物はどれですか？」
　途中で気づき、店の人に尋ねると、教えてもらったそれを生徒会用に買った。
「それと、家に持って帰るようの和菓子も買っておきませんと……今まで食べた和菓子の味は覚えてますから、気に入ったものは後で買いに戻りましょう♪」
　こうして紫苑は、ねこじま和菓子ウィークを満喫したのだった。

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