ボードゲームを脱出せよ！　『Cliff＆Farm』｜リアクション

ボードゲームを脱出せよ！　『Cliff＆Farm』

　蒼がサイコロを手に取り、転がした――と思うと、眩しい光に目をつぶる。謎の浮遊感に身を固くし、足が何かに触れた。
「うわ」
　突然の潮風にまた目を閉じ、そっと開くと、そこは。
　周囲を真っ青な海に囲まれた畑だった。
　高い崖の傍で、聞こえてくるのは海鳥の声、風と波の音。
「おぉー……」
　傍らに座り込んでいたラッセルが立ち上がり、手を差し出してくれたので、取って立つ。
　深呼吸すると、潮と草の匂いが鼻をついた。
「あー、ラッセル君！　蒼ちゃん！　２人で来たの？　ブリジットちゃんと美野梨ちゃんは？」
「野々さん、待っ……て」
　はしゃいでそこら辺を走り回っていたののこが、こちらに気づいて駆け寄ってきた。
　彼女について来れないでいる美和を助け起こすラッセルの傍で、蒼はののこに、内と外で情報交換しながらゲームのクリアと脱出を目指すことを説明した。
「そうそう。そんで、力仕事が必要だろうってことで俺と、ゲーマーの仙藤が中に入ろうってことになったのさ」
　ののこが頷いた時、ラッセルと蒼のスマホが着信を告げた。
「よかった、スマホはちゃんと使えるみたい。ブリジットちゃんからメッセージだよ」
　蒼はののこと美和に見えるようにスマホを差し出した。

『ネットでクリアした人を見つけたわ。基本はサイコロを振って、行動を選び、フィギュアを動かした後イベントカードをめくり、難易度や成否を決めるみたい。成果物を積み立てていくんだって』
　その後、続いて美野梨のメッセージが表示された。
『こちらでは、ボードの片隅に野菜のフィギュアを置く場所があります。空欄の印が２０個ありますから、これだけ置ければ勝利だということだと思うわ』

　ふむ、とうなずき、ラッセルはスマホにメッセージを入力した。
『それで、まずは何から始めりゃいいのかな？　畑とおぼしきところはもう、草ボーボーなんだが』

『あ、今美野梨がサイコロを振るところよ』
　４人がのぞき込む一つのスマホに、続きが現れる。
『人数分のスコップが現れる。地面を掘り起こして草むしり開始だ！　……だって』

「スコップ？　どこに？」
　ののこが首を傾げると、一陣の風と共にスコップが出現し、ざくっと畑の横に突き立った。

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