夢の中のニャオンピック！｜リアクション

夢の中のニャオンピック！

　◆第四章「バスケ部余裕のにゃんぴょこ！」

　可愛らしい三毛猫が、とてとてとニャオンピックの精と共に会場へ入ってくる。
　その正体は羽生碧南。なんか猫になっちゃったところに懇願されたからということで、バスケ部な自分に合うであろう『飛びにゃんぴょこ』に出場することを決めた。

「やっぱ、狙うなら金よね。……でも、うーん、この大きさでちゃんと跳べるのかな……？？」

　ぐるぐると自分の身体を見るようにその場を回る碧南。
　……というのも、彼女は身長が１８０ｃｍもある高身長女子故に、少し体格が大きめな三毛猫へと変身しているのだ。
　三毛猫といえばその小ささが良いと言われているため、これはアンバランスなんじゃないか？　とちょっぴりしょんぼりしてしまっていた。

　だが、会場入りを果たしてしまったところでくよくよしていても話にならない。ぺちこんと自分の顔を前足で叩いて、気を引き締める。

「普通の走り高跳びみたいなものかな？　じゃあ、いつものようにしてたら大丈夫よね！」

　大丈夫だよ　と自分を励ましていると、他の選手達も集まり始めた。
　その中には顔にちょっと火傷を負った灰色猫――鷺来瑞毅の姿もあった。彼もこの飛びにゃんぴょこに参加するようで、碧南を見るとふんす、と鼻を鳴らす。

　まずは１ｍ、これは開始のための基準の高さのようで、瑞毅も碧南は軽々と走って飛び越えてみせた。
　瑞毅は少々たどたどしいところがあったが、バスケ部な碧南にとってはこの程度は楽勝だったようで、１０ｃｍずつ増えていく高さを次々に超えてゆく。
　１ｍ８０ｃｍを超えたところで瑞毅は足を引っ掛けてしまい、そのまま脱落となってしまったが、碧南は軽々とその高さを超えてゆく。

　しかし２ｍ２０ｃｍを超えたところで、若干危ないかな？　と碧南も感じ始めていた。
　猫は跳躍力が優れているとは言え、地上から空へ飛ぶ時には脚力だけではなくバランス力も必要になってくる。
　更には連続して飛び続けているため、呼吸も少しずつ乱れてきた。このままでは金メダルを狙うのは無理ではないか、と少しだけ焦り始めた。

「失敗……いやいや。きっと私は、今までの記録を塗り替えてみせるよ」

　首を軽く横に振り、自分が成功するイメージを頭の中に整えて呼吸を落ち着けながら、また少しずつ記録を伸ばし始めていた。
　既に金メダルに近い記録を叩き出している。それを、もっともっと塗り替えようじゃないかと精神を高め始めた。

　そして、精神が高ぶったところで――２ｍ９０ｃｍの高さを前に碧南は走って、大きく跳んだ。
　しかし２ｍ９０ｃｍの高さは上手く飛び越えることが出来ず、足が引っかかってぽてんと身体が落ちてしまった。

「あ～……２ｍ８０ｃｍ……」

　大きな身体がダメだったかなあ、とちょっと考えたが、なんと電光掲示板には新記録！　の表示が。今まで誰も到達していない高さだったようで、碧南もびっくりしていた。
　まだまだ参加者は控えているが、他の猫達は彼女の記録にビビっているため、抜かされることはないだろう……。

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