Satan's Quest　～降り立つは悪魔の少女～｜リアクション

Satan's Quest　～降り立つは悪魔の少女～

　手を誘う様にくいくいと動かす彼目掛けてリヒト・グレンデルはその巨大な拳を力任せに振り下ろす。
　だがその動きは武術に精通している蛇那伊に読まれていたのだ。軸をすっとずらすだけで空振りしたその腕の側面に蛇那伊はきつい掌底を叩きこむ。予想だにしない攻撃にリヒト・グレンデルの身体が揺らぐ。
　負けじと足を振り上げ薙ぎ払う様に回し蹴りを放ったリヒト・グレンデルであったが、それは蛇那伊の腕によってブロックされてしまう。
「下手な体勢から放った蹴りは威力が乗らないものよ？　どれだけあなたが巨体だろうとね」
　身体をすっと沈ませた蛇那伊の鋭い拳がリヒト・グレンデルの足関節を狙った。めり込んだ拳がリヒト・グレンデルの右足の関節を砕く。
　片足が動かなくなったリヒト・グレンデルはずしんと巨体を地につけると苦し紛れに拳を振り上げ、彼を叩きつぶそうと振り下ろす。
　猛然と迫る巨大な拳をひらりと避けるとその懐に飛び込んだ蛇那伊は拳を握るとリヒト・グレンデルの腹部目掛けて打撃を放つ。
　その打撃は一見、一撃に見えるが実の所、衝撃は二段階に渡って伝わっていく。浸透剄と言われる体の内部へダメージを伝える技だからだ。
「その巨体、さあ……どこまで持つかしら。はぁぁぁああーーーッ！」
　乱打の如く、拳を次々と繰り出した蛇那伊の攻撃は全てリヒト・グレンデルの内部破壊を狙ったものだった。いかに強い個体でも生物である以上、臓器の損傷は生命活動に多大な悪影響を及ぼすからだ。
　鈍く、響く様なその打撃はリヒト・グレンデルの内部臓器を破壊しつくし、その巨体をついにぐらりと仰向けに倒した。
　地面に転がったリヒト・グレンデルの生命活動は停止し、二度と起き上がることはなかった。
　こうして、魔戒での初の作戦である拠点防衛戦は勝利で幕を閉じたのだ。

◆

　作戦終了後、拠点の建設が始まる中。
　拠点の中心部に設置された大きなテントの中で椅子に座ってくつろいでいるのはバアルーナだった。
　彼女は八神が持ってきたコンビニのチョコパフェに舌鼓を打っている。実に満足そうな顔を浮かべていた。
「いやー、あなた達の世界ってやばいですね！　このレベルのお菓子が気軽に買える場所で売っているとは」
「はは、企業の人達が日夜頑張ってくれているからね。そういう開発者のおかげで誰でも気軽に食べれるんだよ」
　八神、常闇はバアルーナと会話しながら拠点設営のアドバイスを行っていたのだ。
「なるほどー。それにしても、拠点の周りに穴を掘って水を流すとは……全くか考え付きませんでしたよー、流石ですね、策士どのっ」
　バアルーナにうりうりと肘で小突かれ、八神は少々恥ずかしそうな顔を見せた。
「いやいや、こういうのは昔の武将とかかつてそれを行った先人達がいるからだ。決して、俺の発案ではないよ」
　そんな会話をしているとふと、バアルーナが思い出したように立ち上がる。
「そういえば！　あの巨人からいい物ができそうなんですよー、ふっふっふ。楽しみにしていてくださいねぇ？　このバアルーナちゃんの自信作を！」
　自慢げにふんぞり返るバアルーナを見て、なんだか可愛くなって常闇と八神は笑うのであった。

このページにイラストを設定する

あとがき

担当マスター：ウケッキ
ファンレターはマスターページから！

お初の人もそうでない人もこんにちわ、ウケッキです！
今回は初の魔戒での活動お疲れさまでした！
ちーあ達の物語と並行して、こちらも進んでいきますので、興味がありましたら
またのご参加をお待ちしております！

バアルーナちゃんが作ってくれたアイテム、ご堪能あれ！
イラストは相棒の【あきのあ】が担当しております！

（運営部より）
アイテムは数日以内に付与されます。しばらくお待ちくださいませ。

↑ページトップに戻る