春を丸ごと！いただきますフェア｜リアクション

春を丸ごと！いただきますフェア

　今日は朝から学食と決めていた。よく頼むメニューか冒険をするか。そんなことを考えながら四時間目が終わり、待ちに待った学食へ。中へ入ろうとした水守流はふと気づく。メニュー看板に『春をまるごと！いただきますフェア』とあるではないか。
「こりゃ限定メニューを行くっきゃないっしょ！」
　幸い、まだ空いているのでメニューはじっくり見られそうだ。
「マンゴーパフェは追加注文確定。後はー」
　たけのこ御膳、かつお御膳、新じゃがと鶏のバター炒め定食、ほたるいか定食。さすがにニつ以上頼むのは無理だ。絞らなくてはいけない。
「たけのこうまそーっ、春と言ったらこれだよな！」
　柔らかくシャキシャキしたたけのこを口に入れた瞬間を想像しただけで、よだれが出そう。
「かつお……わさびと醤油で食いてー！」
　さっぱりした味わいが想像できる。
「ホタルイカも美味いよなぁ。でも今日は、じゃがいもと鶏！」
　ようやく決めてカウンターの前へ。
「おばちゃん、新じゃがと鶏のバター炒め定食！」
「はいよー、じゃがいもは男爵、メークイン、キタアカリの中から、鶏肉はもも肉とささみ肉から選べるらね」
　流は目を瞬かせる。せっかく時間をかけて選んだというのにさらに選択肢があるらしい。
　メニュー表を見せてもらう。
「あー、えーと男爵……メークイン……キタアカリ……」
「男爵はホクホクしててこれぞじゃがいもって感じで、メークインはねっとりとして甘みがある、キタアカリは甘みが強いけど男爵のようにホクホクなの。ちょっと黄色味が強いね」
「むむむ……。じゃがいもと言ったらホクホク感だから男爵……。いやでもメークインはねっとりとた食感ならバターとの相性が良さそうだ。キタアカリは良いところ取りだよなぁ」
「先に鶏肉の希望聞いてもいいかい？」
「もも肉で」
「はいよ」
「あーもう、これは運だ！」
　最終手段だ。
「どーれーにーしーよーうーかーなー」
　そして決まったのが、
「王道だな！」
　男爵芋ともも肉に決まった。悩みに悩んでしまった。
　席に座り、手を合わせる。
「いただきまーす！」
　じゃがいもと鶏肉を一緒に掴み、口の中へ。バターの風味が広がり、じゃがいものホクホク感と柔らかい鶏肉が口の中で混ざり合う。噛むたびに旨味が滲み出てくる。
「うーんまっ。これは北海道産だな。さすが新じゃが」
　ご飯が進む。
　その後、デザートのマンゴーパフェの際、南国産か寝子島産かでさらに悩むのだった。

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