大発見！　ウチはこんなところです！　家族旅行編｜リアクション

大発見！　ウチはこんなところです！　家族旅行編

　◆第一章「第一村人発見！」

　寝子島を訪れて初日の３兄弟。
　ホテルに目星をつけて、そのあたりを歩いてみようとエレンから提案がかかる。
　いきなり遠くへ行っても、何処に何があるかなどがわからないのだからと。

　彼らが歩いていると、朝の散歩をしている猫屋敷宝と出会った。
　エーミールが宝に向けて軽くおはようございますと声をかけると、宝の足元にいた猫達が一斉ににゃあにゃあと鳴き始める。
「わ、わ。凄いですね、おじいさんの飼い猫ですか？」
「ん？　いやいや、うちのこじゃないよ。勝手についてくるのさ」
　旅のお供ってやつさね、と軽く笑う宝に対し、燦斗は彼が寝子島の住人であることに目をつけたのか、名刺を差し出して自己紹介。自分の素性と今回の旅の目的を伝えると、宝はほほう、と燦斗達を見やる。
「なるほど、テレビ番組の。寝子島は何処行っても猫だから、毎日散歩してても楽しいもんだけどねぇ」
「そこをなんとか。猫が多いという特徴もそうですが、景色なども紹介していただけたらと思いましてね」
「ふーむ、そうさねえ……それなら」
　いいところがあるよ、と言おうとしたところで宝の足元にいた猫がにゃあんと鳴いた。まるで彼に話しかけるかのような素振りに、宝は少し集中して猫の言葉を理解し、言葉を返す。
「ああはいはい、わかったよ。大丈夫大丈夫、本当に抜け穴のスポットは教えやしないよ」
「じいさん、誰と喋ってんだ……？」
「さあ……？」
　エーミールとエレンが首を傾げる中で、宝はひとつ良いスポットがあると燦斗に地図を広げてもらい、シーサイドタウンのとある通りについて教えてくれた。

　通称『壁画通り』と呼ばれる場所は、その名の通り壁に絵が大量に描かれている場所。
　元々は落書きを消して回っていたところで、追加の絵を描いて別の絵でにぎやかにしてしまおう！　という目的から壁画だらけの通りになったのだとか。
「あそこは今も更新されてるんじゃないかな？　あたしゃ、最近見に行ってないんだけどねぇ」
　ほっほっほ、と軽く笑った宝。そんな様子に壁画通りに関してのメモを取りつつも燦斗は、そういえばと声を上げた。
「実は前回あまり回れなかったのですが……地区によってなにか変わったりなどします？」
「ああ、大いに違うよ。お兄さん達は、賑やかなのは好きかい？」
「俺は好きだけど、兄貴とエーミールは静かな方がいいって言うかなぁ。この２人、こう見えて本を読むのが趣味なんだよねぇ」
「ほっほっほ、なら茶髪のお兄さんはシーサイドタウンで、そちらのお兄さん達は星ヶ丘で過ごすのが良さそうだねえ」
「シーサイドタウンと星ヶ丘、ですか。そうですね、この後ゆっくりと回ってみますよ」
　パタンと手帳を閉じた燦斗は、散歩の続きは大丈夫ですか？　と宝に声をかける。彼の言葉にそう言えば散歩中だったなと思い出した宝は、エレンに可愛がられていた猫達に声をかけて散歩の続きへと戻る。
「さて、それじゃ私はこれにて。猫神様のご縁があらんことを」
　優しく微笑んだ宝は、３兄弟にペコリとお辞儀をしてそのまま散歩の続きを続ける。
　その途中、ふと話題に出した壁画通りを通り、また新しい絵画が増えていたことに少しだけ頬を緩ませたのだった。

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