【遠足】みんなでGO！東京｜リアクション

【遠足】みんなでGO！東京

〇初めての東京

　月守輝夜は、初めての東京に緊張気味だった。
　制服でなかったら何を着ようかさんざん悩んでいたことだろう。
　けれどドキドキするのはそのせいだけではない。

　隣にいる恋人の青木慎之介に声をかけた。
「原宿でショッピングしよう！　可愛い雑貨屋さんを調べておいたの」
「OK！　俺も原宿気になってた！」
　目当ての店に入った輝夜は、可愛くておしゃれな雑貨の数々に圧倒された。
「おー、グレート！」
　慎之介も目を輝かせていろんな雑貨を楽しそうに見ている。
「色んな種類があってプチプラで前から気になってたんだ……けどこんなに多いと迷っちゃう」
「確かに安いな！」
　色とりどりの可愛いヘアアクセサリーを見ながら、輝夜は慎之介に尋ねる。
「ねぇ、慎之介くん選んで！　どれが似合うかな？」
「えっ？　そうだな……」　
　慎之介はカチューシャやバレッタを手に取り、輝夜の髪にとっかえひっかえ当てる。
「どうかな？」
　ひとしきり比べて首をひねった慎之介はニカッと笑って言った。
「うーん、どれも似合うぜ！　全部買っちゃえ！」
「えー、安いけどそれはさすがに……」
　苦笑しつつ、慎之介くんらしいな、と輝夜は嬉しくなった。
　
　結局、絞りに絞って慎之介が選んでくれたのは、星柄のカチューシャと青い花がついたバレッタ。
　ちょっと派手だが、輝夜の目から見ても恥ずかしくないセンスだと思う。
「ありがとう、学校に付けていくね」
（デートで付けていくのもいいかも）
　と幸せな気分に浸っていると。
「今つけたらいいじゃん？」
　と言われはっとする。
「そうだね」
　遠足だけど、今もデートみたいで。
　カチューシャをつけ鏡を見て、すごく嬉しくなった。　

「次はどこに行こうか？」
　店を出た後、慎之介に訊かれ、輝夜は答えた。
「明治神宮に行こう。慎之介くんの活躍をお願いしたいし」
「サンクス！　よし、レッツゴー！」
　都会のビル街から、鬱蒼とした緑の中の神社へ移動する。
　活躍をお願いするのももちろんだが、それともう一つ、輝夜には本当の目的があった。
「うわ、お守りたくさんあるな！」
　慎之介はきょろきょろするが、輝夜はすぐに目的の一つを探し出し購入した。
「必勝守？」
　書かれた文字を驚いた様子で読み上げる慎之介。　
「スポーツとかの勝負事のお守りなんだよ。アメリカでは傍に居て応援できないし」
　そう言って輝夜はお守りを渡す。
「輝夜、サンキュ！　これがあれば俺は負けないぜ！」
　喜ぶ慎之介の顔を見ながら、輝夜は微笑む。
「近くにカフェがあるみたいだから行ってみる？　ちょっとお腹空いちゃた」
「おお、ナイスアイディア！」　
「ゆっくり景色を見たりしながら行こうね」
　そう言って輝夜は、そっと慎之介と手をつないだ。

このページにイラストを設定する